あれから31年、どうしていましたか?

誰か教えてニュースの正気度のミカタ - maukitiの日記前回日記の続きというか、本題的なお話。
コロナやアメリカの騒動で、単純な利害対立を越えて米中が舌戦をしているのを見ると、いよいよかつての冷戦時代のようなイデオロギー分断な空気が戻ってきつつあるなあとしみじみ思ってしまうよね日記。





「新たな天安門」は不可能に、監視と弾圧を強める中国 写真27枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでリベラルからネトウヨまで、日本では割と誰もが同じ気持ちになれるみんな大好き六四天安門な日であります。
パンダハガーな人は……、あー、じゃあ、まあ座ってればその辺。




歴史の偶然というか必然というべきか、確かに1989年というのは「世界が変わった年」という評価には一定の説得力があるんですよね。
長く続いた冷戦がついに終わるのだという確信が人びとにもたらされた年。
それはベルリンの壁崩壊という東西ヨーロッパの分断の終わりの始まりであったし、そして(天安門事件が起きるまでは)中国という世界最大の国の民主化運動の大きな盛り上がりでもあった。
――ヨーロッパ分断が終わり、中国すらも民主化するのであれば『歴史の終わり』まったなし!
ところが31年経った今振り返ると、見事に両者の顛末は真逆の地平にたどり着いてしまっている現状というのはほんと皮肉な時間の流れだと思います。


ヨーロッパでは紆余曲折ありながらもとにかく欧州連合はヨーロッパ全域にまで拡大した一方で、現代中国というのは文化大革命以降最も強力な独裁政治体制を確立するに至っている。
どちらも1989年に同じようにその民主化運動が最高に盛り上がるタイミングを迎えていたのにね。
ヨーロッパと東アジア、どうして差がついたのか。
……慢心、環境の違い
個人的には、やっぱり中国共産党政府が天安門ソ連崩壊から正しく学んだ結果であり、不倶戴天の敵である民主化運動を封じ込める為に行ってきた不断の努力の結実だとは思ってますけど。




現代中国における民主化運動の最高潮だった1989年のあの瞬間からもう31年。
悲しいかなコロナと違ってもうその第二波はもうやってきそうにない。
31年前の懸念がいま現実に… 中国政府が摘もうとする天安門事件の再来の芽 - 毎日新聞
端的に言ってしまえば中国での民主化運動は完全に敗北し、(そして当然の帰結として)香港のそれも今まさに失われようとしている。





「中国発」という以前とは違う構図によって、ふたたび1989年以前のような世界が戻ってこようとしている。
あの時に失敗したツケを、再び冷戦の時のような世界が戻ってくることで払おうとしている。
今私たちが目にしているのは、確かにあの頃と同じような「資本主義vs共産主義」といったイデオロギー対立のような以前の図式ではないかもしれない。
そこにあるのは、より単純な世界観、もはや私たちが陳腐化したと思っていた覇権争いそのものである。

 李氏はまた、天安門事件のような激動が新たに中国で起こり得ない二つ目の理由も挙げている。

「今の世代は自己中心的でもある。中国の経済成長によって、昏睡(こんすい)状態に陥っているからだ」「理想主義者だった1980年代の学生たちとは比べものにならない」

「新たな天安門」は不可能に、監視と弾圧を強める中国 写真27枚 国際ニュース:AFPBB News

この方は、「中国国内で」起きない理由をそう説明していますけども、それは国際関係として同時に冷戦時代のような米中対立がほとんど現実のモノへと至った理由でもありますよね。
――ぶっちゃければ、我々も同様に中国の経済成長の恩恵にあずかることで、それ故にその覇権主義に容易に抵抗できない昏睡状態に陥ることになった。
そうだよね、イデオロギーよりお金の方が大事なもんね!
偶にそうした気概のない現代中国人たちを嗤う人が居ますけども、そんなの世界中の私たちだって同じだよね。




1989年を経ても東アジアだけはいつまでも冷戦構造から抜け出せないと嘆かれていましたけども、あれから31年、ようやく世界の方が私たちに追い付きつつある。
良かった。ふたたび二つの超大国の思惑に翻弄されるのは、私たち東アジアの住民だけじゃなくなりつつあるんだ!


世界が平和でありますように。