2021年に積年の恨みを込めて中国は『西欧病夫』とさけぶ

『最後の晩餐』『東亜病夫』『ヨーロッパの病人』と属性を盛りまくっていて、いやあ恨みこもってる感すごいよねえ。


中国、「最後の晩餐」なぞらえG7風刺 ネットに拡散: 日本経済新聞
また中国さんちケッサクな風刺画を発表していたそうで。
作品の出来はともかくとして、前回の富嶽三十六景でもそうでしたけどこれを表現の自由言論の自由などまったくない現代中国がコレをやるのは、その批判的メッセージよりも先に旧ソ連時代のアネクドートの方を想起してしまうかなあ。
「こんな風に私たちにも政治批判をする自由があるのだ!」なんて。
お、おう、せやな……と戸惑ってしまう感じ。



ともあれ、まぁメッセージとしては明確ではありますよね。

題名は「最後のG7」。イラストではイエスとその弟子の代わりに、各国の国旗をあしらった帽子やターバンをかぶる動物たちが話し合っている様子を描写している。テーブルには中国の地図が描かれたケーキが置いてある。

真ん中に座るのは白頭ワシの米国だ。テーブルの上で米ドル札を印刷しているが、原料はトイレットペーパーだ。米国の2つ左隣は、日本になぞらえた秋田犬が参加者のグラスに緑色の液体をそそいでいる。

中国共産党系メディアの環球時報(英語版)の解説によると、液体は福島第1原子力発電所の処理水という。ドイツの黒ワシとフランスの鶏はテーブルの両端に座り、米国と距離をとっている。

G7メンバーではないが米国と対中で連携する国も描かれている。テーブルの横では点滴を受けるゾウがうずくまっている。新型コロナウイルスが流行するインドを皮肉った。オーストラリアを表現したカンガルーは目がうつろだ。左手で米国が印刷するドル札に手を伸ばす一方で、中国の国旗がついた点滴につながれている。中国経済への高い依存度をやゆしたとみられる。

中国、「最後の晩餐」なぞらえG7風刺 ネットに拡散: 日本経済新聞

G7メンバーを「弱い病人たち」として表現する中国人として見ると、まぁそれって『東亜病夫*1』の意趣返しだよねえと。
だからこれって二重の意味での風刺なんですよね。『最後の晩餐』と『東亜病夫』と。いやあものすごく強いメッセージであります。
「愛される中国」目指せ 習氏、イメージアップ指示:時事ドットコム
先日言っていたアレはどうなってるのと端から見ていて心配にはなってしまいますが。
でもこの病人ネタってそれこそ100年以上前から続く、中国という国家にとっての宿怨だもんね。しかたないよね。


ちなみにこの言葉って、単純に清朝~第二次大戦の間に用いられたというだけでなく、最近の新型コロナ流行の初期においても中国発ということもあって文字通りの意味で「東亜病夫」と揶揄されていたわけで*2。それがこうして逆に欧米諸国を病人扱いしている中国政府の姿をやっぱり面白い構図だよね。
かくして彼らは積年の恨みを晴らそうと、嬉々として「ヨーロッパとアメリカの病人たち」を発表する。
今回のG7の主役でもあるイギリスを「ヨーロッパの病人」扱いする歴史的意味を考えると、三重の意味もあるかもしれない。
『最後の晩餐』『東亜病夫』『ヨーロッパの病人』なんて。


いやあカオスな世の中になってきたよねえ。
現代中国が抱き続ける、傲慢な(まぁそれ自体には私たち日本人も概ね異論はないよね。これ以上ないほど明確な形で「わからされて」しまいましたけど。)欧米世界への恨みについて。
この風刺画にそうした歴史的なメッセージが込められていることを考えるとやっぱり面白いなあと不謹慎ながらに思ってしまいます。
みなさんはいかがお考えでしょうか?