1930年代のイギリスとフランスの関係

愛すべき軍事板常見問題&良レス回収機構で気になるのを見つけたので。

【質問】
 第二次世界大戦前,1930年代くらいのイギリスとフランスは,あまり仲がよく無いような気がするのですが,これは数百年前からの因縁から来るのでしょうか?
 それとも1900年以降に,何か仲たがいの種があったのでしょうか??

 【回答】
>仲がよく無いような気がするのですが

 そんなことないと思ふけど.

>これは数百年前からの因縁から来るのでしょうか?

 それはない.

>それとも1900年以降に何か仲たがいの種があったのでしょうか??

 1930年代がどういう時代か検討してみましょう.
 英仏は三国協商を結び,第一次大戦戦勝国となり,国際連盟常任理事国となった.
 しかし亜米利加に対し,膨大な債務を負い,国庫は火の車でした.
 そこに世界大恐慌が起き,当てにしていたドイツからの賠償金は,ドイツから一方的に支払い停止を宣言され,ベルサイユ体制が崩壊してしまう.
 国際連盟の運営も不調で,国際関係は緊張して共産主義の脅威,ナチスの台頭とか,とにかく英仏両国にとって大変な時代ではあった.
 それでぎくしゃくするようなこともあったかも知れません.

General Works < Europe FAQ|軍事板常見問題 欧露別館

この辺の対立は究極的には「黒(ファシズム)か赤(共産主義)か」な話だと思う。あのナチス占領下でさえ「赤よりマシだ」と言われた例のように。
勿論引用先の【回答】にあるように過去の因縁から、というのは正しくない。で、ぎくしゃくしていた、というのも多分正しい。それを仲良くないと言うかは個人の主観の問題になっちゃうのでスルーで。以下何があったのか。


イギリス「てめー何やってんだ、本当の敵はソ連(共産)だろ。(一応民主主義な)ドイツなんて適当な所で許してやれよ」
フランス「はぁ?お前何言ってんだ。前回何されたか忘れたのか。ソ連はいいからドイツどうにかしろ」
〜仲たがいの種、ってのは恐らくこの辺じゃないかと。そこにあったのはイギリス帝国の衰退、海上封鎖万能論の妄信、あるいは内閣による戦争対策の失敗。フランスではザール地方の占領等によるドイツへの圧力、ソ連との協力強化や他東欧諸国との同盟によるイギリスの不信感とか。
まぁこれを結果論で言えば、イギリスの対独宥和政策のせいでナチスドイツが暴走したとか、フランスの圧力のせいでドイツ内で極右勢力が伸張した、とか色々言う事はできる。全て後知恵だけど。だからこの両者のうちどっちが正しかった、なんて事は言えない。
どちらもその時正しいと思われる行動をとり、しかし結果論で言えばどちらも間違っていた。


こんな歴史から得られる結論としては、何が戦争の原因となるか解らないので皆気をつけよう、あたりか。戦争を避けるのに必要なのは宥和一辺倒でも圧力一辺倒でもないと。うわーすごいふつう。