おめでとうオバマ大統領、そしてさようなら人工中絶

というわけでこれまでの日記でも散々もうだめだーと言ってきた医療保険改革法案ですけどついに可決したそうです。おめでとうございます。無理そうとか言ってきてごめんなさい。
米医療保険改革法案を下院も可決、成立へ 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

【3月22日 AFP】(一部更新)米下院は21日、バラク・オバマBarack Obama)大統領が成立を目指してきた医療保険改革法案を、賛成219票、反対212票で可決した。上下院を通過した同法案は同日、オバマ大統領に送付され、大統領の署名を経て成立する。
 
 米史上初の「国民皆保険」制度の事実上の導入で、現在は無保険状態の米国民3200万人が新たに医療保険に加入し、65歳未満の保険加入率は95%に拡大する。

米医療保険改革法案を下院も可決、成立へ 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

事前予想、というか一週間前位まではどう見ても可決は危ない気配だったのに土壇場で逆転です。219対212で可決ですって。7票差。
まぁオバマ大統領の指導力だ!と言うのは簡単だけども、どう見ても議会工作のおかげというのがなんというか。
そしてその議会工作の方向が、いわば野党である共和党員よりもオバマ大統領の身内である民主党内に向かって行われたのは何と言うか、「指導力」という言葉とはかなり縁遠いですよね。どこいったんだ指導力とやらは。


で、その決定的となった議会工作の一つが、人工中絶反対派の議員を取り込む土壇場の努力であるらしい。

 医療保険改革を内政の最重要課題としてきたオバマ大統領による人工中絶反対派の議員を取り込む土壇場の努力が奏功した。大統領は、改革にかかる費用 9400億ドル(約85兆円)から人工中絶への保険適用に向けた支出を禁じる大統領令を発令する方針を決定。これが反対派の民主党議員グループを率いるス トゥーパク下院議員、および同氏に同調する少なくとも7人の議員に賛成を促した。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

医療保険改革法案が7票差で、この妊娠中絶反対派との取引で得たのがぴったし7票。見事な計算です。Q.E.Dです。
その大統領令の実効性はともかくとしても、オバマ大統領は医療保険改革の為に、人工中絶への保険適用を取引の材料として差し出したと。とてもよく解るお話です。とっても現実政治という感じですよね。


さて置き、こうした医療保険改革法案可決の一連のぐだぐだは、まぁ日本の某新聞が言う様な「オバマ大統領の指導力が発揮された」というよりはむしろ、その危うさを露呈したわけで。初めの頃に彼が言っていたような、超党派での協力、なんてものはまるっきり絵に描いた餅だった。むしろどちらかと言えば結束して医療保険改革に反対した共和党民主党内の反対派が一致団結して、超党派で協力した結果否決まで惜しい所までいった、というのが正しい姿だった。その意味で確かに「超党派で協力」が達成されていたのは笑える話なんですけど。
というわけでそんなこんなでオバマ大統領の努力は実った。しかしそもそも国民の半数近くは反対だったわけで。果たして次の中間選挙でどう評価されるか乞うご期待です!
まぁ負けたら負けたで「殉教者」として崇められちゃうような絵が簡単に想像できちゃうわけですが。