ピンチをチャンスに変える力を!

というのはよく言われることだけど、まぁ無理だよね! というお話。世界を革命する力とどっちか難しいかといわれると真剣に悩む位には。


原油流出事故、オバマ大統領をも脅かす恐れ−背後に当局の「時代精神」 - Bloomberg.co.jp
この記事では、サブプライムの原因の一つとしての米証券取引委員会の怠慢と、石油事業にとっての内務省のミネラルズ・マネジメント・サービス(MMS)の怠慢を並べて批判している。

 担当分野を監督すべき時に、MMSとSEC双方の職員が政府のコンピューターを使ってポルノ画像を閲覧していたのは偶然の一致ではない。
 調査や米議会の公聴会での証言によると、間もなく解体されるMMSでの腐敗と無能力は一段と深刻だったようだが、両者の時代精神は似通っていた。それは、業界は信頼されるべきだという精神だ。メキシコ湾の海底で起きていたことも、リーマン・ブラザーズベアー・スターンズのトレーディングフロアで起きていたことも理解していなかったのにである。
 この点についてオバマ大統領は何ができるだろうか。
 政治的な信頼回復への1つの方法は、政府と業界との付き合い方を見直すことだろう。大統領が明言すべき目標は、利益優先主義の行き過ぎから資本主義とその社会を守ることだ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aE4_.id77AjQ

うん、まぁ確かにその通りかもしれない。これを機会として、根本のシステムの見直しと時代精神という意識改革が必要であると。
で、それで信頼が回復するかというと、悲しい事に多分そんな事はない。
もう既に発生してしまった失点を取り消す事はできないから。確かに今回の事件を教訓として、将来の悲劇に対しての対策を練る事はできる。しかし、ぶっちゃけてしまえば、一体それが(今の被害者達に対して)何になるのだろうか? 恐らく彼ら国民は今の失点しか見てくれない。彼らは「今の」被害に怒っているのであって、その被害を無かった事にはもうできないのだから。オバマ大統領はその点をもって批判され続けてしまう。外から見れば多少理不尽な気はするものの、それは確かにオバマさんの行動が与えてしまった大義名分ではあるから。
更に身も蓋も無い言い方をすれば、もし上手く「ピンチをチャンスに変える」事の出来るような人物ならば、恐らく始めからピンチなどに陥っていない。


ブッシュ前大統領にとってのカトリーナや、あるいはオバマ大統領にとっての原油流出事故は、その少なくとも「発生の責任は無い」という意味においては確かに彼らにとって天災である。そんな天災は初動において上手く立ち回る事ができれば得点にもなり得るものの、しばしば彼らのように失敗してしまう。ゲーム的に言えば、そんな理不尽な突発イベント。リロード推奨です。
つまり現在のオバマ大統領の状況は「天災をチャンスではなくピンチにしてしまったピンチをチャンスに変えようとする努力」である。もはやそれをプラスには出来ないものの、せめてマイナスから±0を目指す努力。ちなみにもしここでも失敗したらこの次は「天災をチャンスではなくピンチにしてしまったピンチをチャンスに変えるのに失敗してしまったピンチをチャンスに変えようとする努力」である。ニホンゴ難しい。



結局の所、こうしたイベントは政治的に見れば大抵は、最初に失敗した時点で後は壮絶な撤退戦でしかない。
だからこそ初動体制が大事なんだと良く上から目線で言われる訳ですよね。それは被害拡大を防ぐという意味においても、そして政治生命の為にも。そんな不謹慎な事大っぴらには言えませんけど。