「行き過ぎた排斥」を生み出した「行き過ぎた肯定」

フランスのロマ人排斥のあれ、のお話。


仏政府のロマ人強制送還に「外国人排斥」批判、欧州委も懸念 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
サルコジ、ロマ弾圧の皮算用 | ForeignPolicy.com | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

【8月19日 AFP】フランス政府が、不法移民取り締まりで拘束したロマ人約700人を19日からルーマニアブルガリアに強制送還すると発表し、欧州連合EU)や関係政府から「外国人嫌悪からくる排斥だ」などと強い批判が起こっている。

仏政府のロマ人強制送還に「外国人排斥」批判、欧州委も懸念 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁありそうな、というか以前から結構言われてきた話ではありますよね。フランスの移民排斥な風潮。
で、その構図の主要因として何があげられているのかというと、有権者の支持であると。

 サルコジの支持率は、景気低迷と不正資金疑惑のせいで30%台の前半を低迷している。対移民強硬策は功を奏しているようだ。フランスの有権者の79%はキャンプの解体を支持し、サルコジの支持率も今月に入って2ポイント上昇した。かくして、移民が増えては弾圧するサイクルはどこまでも続く。

サルコジ、ロマ弾圧の皮算用 | ForeignPolicy.com | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

解りやすい構図ではあります。本来まったく実態を伴わないはずの、ただ漠然とした感情だけで、そうした行為に走ってしまう。確かにそうした「不寛容な」フランス有権者を馬鹿にすることはできる。あとそれにのっかる政治家を。


でもそれってそれまでにあった実態を伴っていない「移民の融和礼賛」と何か違うんだろうか。
結局の所、欧州統合の機運から派生した有権者の空気が生み出した、いわば行き過ぎた「融和」的な空気によって本来あった実態以上にこれまで移民社会を肯定してきたんじゃないのかと。そして現在、その揺り戻しとして本来なら不必要なまでの排斥運動に繋がっている。
肯定も排斥も、そのどちらも(端から見れば)暴走した有権者の支持とその支持に乗っかりたい政治家の共同作業ではないのかと。


その意味で「移動型民族ジプシーを弾圧して世論ウケをねらうというヨーロッパの伝統的政治手法」というのは、これまであった「欧州統合を礼賛して世論ウケをねらう」とぶっちゃけあんまし差が無いですよね。どちらも現状を過剰に装飾し、結果その反発も過剰となる。
これまでに起きた過剰で無意味な肯定の揺り戻しとして、次は過剰で無意味な排斥が進んでいると。
極右政権のすぐ次に極左政権が生まれたり、極左政権のすぐ次に極右政権が生まれたり、そんな揺り戻しがまぁ人類の悲しい歴史の教訓とは言えるんですけど。


さて置き、こうしたフランス世論の変化は、今振り返るとそのターニングポイントはどの辺に求められるんでしょうね。決定的になったのは2005年のパリ暴動*1あたり?