アメリカの諜報機関はウソツカナイ

イランのあれ、書こう書こうと思いながら本日21日まで平和に過ぎたのでとりあえずまぁ良かったですね、的なお話。


http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100815-OYT1T00264.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100814/erp1008141930003-n1.htm

 だが、米専門家の間では、イランが同原発の運用を通じて吸収した原子力技術を軍事転用する恐れを指摘する声も根強い。ヘンリー・ソコルスキー不拡散政策教育センター所長は、「ブシェール原発は極めて危険な計画だと見なされていた事実が急速に忘れ去られている」と指摘。ジョン・ボルトン元米国連大使はFOXニュースの報道番組で、同原発の稼働でイランの核兵器開発能力が高まることを懸念するイスラエルが「原子炉に燃料棒が挿入される8月21日以前に同原発を攻撃する可能性がある」と警告した。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100815-OYT1T00264.htm

可能性は低いものの、21日がとりあえずの喫緊のラインであったと。あれですか、また世界終末時計的*1なやつが進んだり戻ったりしますか。


さて置き、もちろんこれでイランの脅威(まぁ主には身の危険を感じてしまうイスラエル側からの軍事行動なわけだけど)が無くなるかと言えば、まぁそんな事ないわけで。長期的に見れば当然、そのリスクは増したとはいえる。
で、それによってイランを攻撃すべし、という声は当然盛り上がると。


それに対する反論として以下のような記事がある。
イラン攻撃論者よ、頭を冷やせ | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 しかしアメリカとその同盟国の多くは、イランが実際の核兵器設計・製造過程で「後戻りできないところ」にたどり着くまで、少なくともあと1年はかかると見ている。米政府当局者たちの言うように、現在のイラン攻撃に関する報道は明らかに加熱し過ぎだ。

イラン攻撃論者よ、頭を冷やせ | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

主にアメリカの諜報機関はそう考えてないらしい。イスラエル側がすぐにでも核兵器製造へのプロセスまで至ると考えているのに対して、アメリカ側の諜報機関及び政府高官はもっと時間が掛かると考えている。少なくとも1年以上は。故に、今回のイランの原発稼動へのアメリカの容認姿勢であると。


まぁ一般的にリベラルな傾向を持つニューズウィーク等がこうした記事を載せるのは理解できるところではあるんですよね。実際確かに単純な確率論ではそうなのかもしれない。イラン攻撃論者たちは危機を過剰に煽っていると。
しかし、それでも、その根拠がアメリカの諜報機関や政府高官の言であるのは、まぁなんというか気の抜ける話ではありますよね。
だってそうした諜報機関が足を引っ張りまくったのがこの前のイラク戦争大義名分だったりしたんじゃないのかと。一部の人びとはその瑕疵をもってアメリ諜報機関の無能を批判してきたんじゃないのかと。かつて「信用できない」や「間違っていた」などと批判したはずの人びとの言を、しかし今回は無邪気に信じてしまう。政権も代わりましたしね。
つまり前回と違って今回は、彼らが聞きたかったことを言ってくれたから、信じていると。人は見たいものが見えるし、信じたいものを信じるから。


でもそれって端から見ると前回の時と構図は全く変わりませんよね。あの時の彼らだって信じたいものを信じたわけで。
まぁそれでも実際に報告が正しければ概ね誰も傷つかないので、私も「アメリカの諜報機関」の報告が正しいと信じています。だったらいいよね。