よくある代理戦争の構図

アメリカで話題沸騰中のモスク建設を巡る議論のお話。


http://jp.wsj.com/US/Politics/node_91656
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_92709
http://www.cnn.co.jp/usa/AIC201008230008.html
モスクをめぐる議論のなか建設進む「1 WTC」ビル ニューヨーク 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
うん、まぁ、なんというか、以前の日記で「オバマさんわかってる」なんて適当な事書いてすいませんでした。まさかここまで大事になるなんて。
確かに論理的道理的には正しくても、感情的な議論が巻き起こっている所に、一国の長である大統領が簡単に発言してしまえばそりゃこうなりますよね。結果論からすればすごい解りやすい展開ではあるんですけど。
こうした行動は、よく言えばフットワークの軽い・過去の大統領とは違う・チェンジされた・気さくな大統領だと確かに言えるし、そしてそれがこれまでは彼の魅力の一つでもあった。しかしそれを反対から見れば、発言の軽い・無定見な・迂闊な大統領でもあるわけで。
まぁその意味で以前あった「黒人教授の誤認逮捕」の時の発言の頃と何か変わったのかといえば、まぁ大して変わっていない。もうあの頃からずっと似たような事やっていたとはいえる。それをブレていないとか変わっていないと言うべきか、それとも進歩していないとか勉強していないと言うべきか。


結局の所今回の件で致命的だったのは、

 しかし、この発言がモスク建設反対派の怒りをあおる形となり、あわてた大統領は14日に記者団に対し、「グラウンド・ゼロ近くにモスクを建設する決定が賢明かどうかについてコメントしたのではなく、国民の権利について述べたものだ」と釈明し、発言を修正した。その後ホワイトハウスのスポークスマンは声明を出し、「大統領は発言を撤回したわけではない。憲法で保障された信教の自由を守ることは大統領の責任である」と強調した。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

な辺りですよね。なんかもうすごい迷走感。こんな事ならはじめから口を出さなければ良かったのに、と多分関係者皆が思っているでしょう。
確かにその発言自体は正論ではあるものの、しかし正論を述べることが常に正しいわけでは決してないのだから。



さて置き、まぁいつのまにか大事になりすぎて、最初の当事者たちの手から問題は既に離れてしまった感はあります。
おそらく大多数の穏健的なムスリムたちは(アメリカ人の7割近い反対を押し切って)そこまでしてその場所に建てる必要はないと思っている。大事なのは追悼する行為であって、それが何処に建っているかではないと。しかし「信教の自由」などの議論を持ち出されてはそれを護持したい人や反イスラムな人などのアメリカ国内の利害関係者たちそれはもう本気になってしまうわけで。
もうそこに本来あったはずのムスリムの権利、というような理念はどこかに忘れ去られている。
その意味でこの議論の先にあるのは結局アメリカ人同士による、「宗教的自由」はどこまで守るべきか、についてでしかない。最初に許可を出した当局と、それを申請したイスラム教団体は最早蚊帳の外である。
一体なんでこんなことに。