レーガンさんに憧れるオバマさんの夢見た状況

オバマさんとレーガンさんのお話。


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サヌア】イエメンのサレハ大統領は1日、同国の首都サヌアの大学キャンパスで演説し、オバマ米大統領がアラブ世界で騒動を煽っていると批判した。大学付近ではサレハ退陣を求める約1万人のデモが行われた。

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その発言の真意はともかく、まぁそう言いたくなる気持ちも解らなくはない。そんなオバマさんの能天気な外交政策について。


で、この構図ってどっかで見たなぁと思ったらレーガン元大統領の『ソ連は悪の帝国である』発言が批判されまくった時と似ていると思うんです。1987年の大統領時代に彼も(ある意味で)能天気に「ドイツのベルリンの壁はマジぶっ壊すべき!」とか発言してそれはもう内外から批判されまくっていたわけで。
何故かってそりゃその少し前、1970年代にアメリカ外交を現実主義路線をやっていたから。当時キッシンジャーさんはこう言っていた。

ソ連や中国のような共産主義国家に対して真っ向から挑戦するのは道徳的には満足できるものであるにせよ、実質的には軽率なやり方だ。なぜならソ連や中国は、地域紛争や軍備管理の方法についての現実的な調停というものを拒むからだ」*1

と。少し前の日記で書いた『革命的なシステム』*2を採るべきではないという現実主義にそれは反していたから。
しかし、そうしたレーガン大統領は運が良いと言うべきかあるいは本当に卓見があったのか、「ドイツのベルリンの壁はマジぶっ壊すべき!」とソ連に要求して批判されまくったまさにその直後の1989年に本当にベルリンの壁は崩壊してしまった。結果論で見れば、彼のとった勇気ある発言は正しかったということはできる。
いやぁレーガン大統領すごいです。憧れる人が多い理由も解りますよね。


で、そんなかつてのレーガン大統領に憧れる政治家の一人が、現在のバラク・オバマ大統領でもあると。*3
最初そうした話を聞いた時、何でこの人よりによって共和党で、皆大嫌いなネオコンの源流にもあるレーガン大統領が好きなんだろうと疑問に思ってましたけど、よく考えたら彼らのその理想主義的な外交志向って結構近いところにあるんです。だからオバマ大統領の振る舞いもかつてのレーガン発言のように「騒動を煽っている」なんて批判されてしまう。
でも実は、オバマさんそれを喜んでもいるんじゃないかとも思うんですよね。まさに憧れのレーガン大統領のように(彼自身の考える所の)「正しいことをやろうとして」批判されているんだから。


でもまぁ、そんなレーガン的手法の真の後継者とも言われるのが、皆大嫌いなブッシュ前大統領でもある。
その意味でやっぱり以前から言われるように、オバマさんとブッシュさんの志向って内政に関してはともかく、外交的には二人とも似たようなものなのでしょう。レーガン大統領に憧れ、彼のような成果を挙げたいと願う点で。でも一般にはオバマ大統領は誉められて、ブッシュさんは非難されてしまう。
結局の所、イメージ戦略って大事ですよね、という普通の結論でした。

*1:フランシス・フクヤマ著『歴史の終わり』下

*2:自らの「正義」を外部に向けて追求していくようなやり方。

*3:http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/worldwatch/news/20110218org00m020041000c.html / / WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com