将来綺麗に負ける為にも

ということで中間選挙の見通しがひたすら暗いオバマさんのお話。


米共和党が民主党に過去最大のリード、米中間選前調査 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
オバマ政権の命運を決する米中間選挙のメカニズム:渡辺将人 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト
Opinion & Reviews - Wall Street Journal

クリントン大統領は、1994年に共和党が議会の過半数を占めた時、彼自身と国家の利益のために政治的中道に戻った。大統領と議会は、財政を均衡化させ、福祉改革を行った。しかし、思い出してほしい。クリントン大統領の大きな政府の構想、つまり「ヒラリーケア」は敗北したのだ。オバマ大統領が中間選挙後、同様のことを成すためには、自身のこれまでのイニシアチブの「撤回と変更」に取り組まねばならないだろう。

Opinion & Reviews - Wall Street Journal

実際かつての「不適切」だったクリントン大統領は、そうやって大幅に舵を切りなんとか延命に成功した。じゃあ、オバマ大統領はそれができるの? というと微妙なわけで。
最初に掲げていたはずの理想は失敗続きだし、本当に求められていたはずの経済対策はというとやっぱりそれは非難されまくるし、そしてならばと外交に逃げ道を求めても無能だと言われ続けてきた。そしてそれを表すように何の問題も無くまさに「順調」に支持率はずっと下がり続けている。まぁなんというか絶望するしかないですよね。


だからこんな事も言われちゃう。

○先日の溜池通信と、チャーリー・クックのまったく同じコメントを引用しているのが面白い。やっぱり同じことが気になってるんですねえ。
"I know this isn't true and sounds naïve, but listening to the president in these meetings, you'd think he really doesn't care if he gets re-elected or not."(原文)
「実際にはその限りではないし、ナイーブに聞こえるかもしれないが、会合で大統領の発言を聞いていると、大統領は本当に自分の再選に興味がないのだと、そう思えるはずである」(渡辺訳)
「こんなことは真実ではないし、ナイーブに聞こえるかもしれないが、大統領に同席していると、この人は自分が再選されるかどうか気にしていなんじゃないかと思えてくる」(吉崎訳)

○政治家が再選を気にしない、なんてことは普通はありえないのですが、そこがオバマさんですから普通じゃない。仮に22世紀に歴史の教科書にオバマさんが載るとして、そこに羅列されるべき項目はほぼもう出尽くしている。だったら大統領職を長く続ける必要もない、と考えているような気がする。でも、そんなに達観されると、他の人の立つ瀬がないんですよね。

かんべえの不規則発言

この日記でも半年前位に書いてたんですけど、下手に延命するよりはまぁやっぱり「殉教者」扱いが一番いいんじゃないでしょうか。綺麗サッパリ1期限りで勇退すると。ほら、死んだ英雄こそが良い英雄とか言いますし。これなら「オバマさんが悪かったんじゃなくて、時代がまだ追いついていなかったんだ」的な空気も作りやすいし。そしてこれだと誰も傷つかないからお勧めです。
ということで僕の個人的で適当な将来の歴史評価のオチとしてはこれも先週書いたような、最強の「元」大統領コースなのかなとは思います。ほら、肩書きの「元○○」って魅力的ですしね。そこならカーター外交もオバマ外交も好きなだけできます。


だけど本当に悲劇なのは、それさえも下院どころか上院の過半数までも奪われてしまうと何かもうほんとグダグダに終わってしまうので、そこだけは死守したいという前向き何だか後ろ向きなんだかもうよく解らない点。
将来の「綺麗な負け」の為に今勝たなくてはいけない、というのは不毛で悲しいよくある構図ではあるんですけど。大日本帝国か。