平和依存症国家北朝鮮

ということで昨日の日記でも少し書いた話題沸騰中の北朝鮮のお話。


北朝鮮が声明、「砲撃は韓国の責任」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
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 【ソウル】韓国はどこまで耐えられるか。23日の砲撃によって、北朝鮮はいつでも、しかも反撃の恐れもなく韓国を攻撃できるという、60年近く前からの南北朝鮮間の対立を特徴付ける安全保障上の矛盾に再び強烈な光が当てられた。

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よく北朝鮮のこうした行動を韓国に対しての「チキンゲーム」だなんて揶揄されてしまいますけど、実際韓国対北朝鮮の関係ではそれですらないんですよね。だって北朝鮮は絶対にブレーキを踏むつもりでいるんだから。同じように相対する韓国の側だって絶対に同じようにブレーキを踏むと。そうしたお互いのほとんど確実な合意事項による茶番をチキンゲームと呼ぶのは少し違うんじゃないのかと。そもそも初めからチキンゲームですらない。
むしろその意味で北朝鮮は韓国やアメリカを相手ではないチキンゲームを、冷戦時代からずっと、かつてはソ連で今は中国を相手にやっていると。彼らは敵に対してやる以上に、味方に対しても譲歩を引き出そうとしている。


ある意味で北朝鮮の金さん一家もわかっていると思うんですよね。つまり「戦争になればほぼ確実に権力の座を追われる」ということが。
戦争に負けたからこそそれまでの(どうしようもない)権力・社会構造の問題が一挙に解決されてしまったという、よくある歴史の皮肉。私たち日本だって戦争で負けたせいで、そのおかげで、軍が政権を掌握していたあっさり時期が終わったわけだから。もしあそこで戦争に負けていなかったらあるいはもし戦争がなかったら、いずれ崩壊するにしても、そうした状況は長生きしてしまったんじゃないのかと。それは日本だけじゃなくってヨーロッパでも何度も繰り返されてきたお話でもあります*1
故に現在の北朝鮮の悲劇的な状況は、戦争が無いからこそ、温存されているわけでもあると。そして当人たちはそれをきちんと自覚している。


いや戦争待望論などと勿論言いたわけではなくて、むしろ北朝鮮がそうした状況を巧みに避けてきたからこそいわゆる「金王朝」が存続していると言えるのではないのかと。見方によっては彼らこそが真の平和の申し子とも言えるんじゃないのかと思うんですよね。彼らこそが真にその国家存亡を平和に依存している。それこそよく平和ボケと批判される日本よりもずっと。
かつての朝鮮戦争当時は当然違っていたとしても、いつの頃からか、彼らは本当の意味で朝鮮半島が平和でないと最早生きていけなくなってしまったのだから。

*1:ロシアもクリミア戦争日露戦争でそうだったし、ドイツなんてプロシアから第二帝国とか第三帝国とか何度もやってる。