フランスのブルカ禁止と、現代の宗教戦争

重要なのはこれまではそれが功を奏してきた上で、そして「これからも」そうなのか? という点だと思うんですよね、なお話。


フランスで「ブルカ禁止法」施行、違反者には罰金1万8000円| ワールド| Reuters
ということでうちの日記でも以前何度か書きましたけど、法案提出の時から話題になってたフランスの「ブルカ禁止法」が施行されたそうで。まぁ宗教の自由や個人の権利と絡めて色々非難する方もいらっしゃるんでしょうけども、個人的にはフランスの歴史的・文化的に見て、仕方のないことなのかなぁと個人的には思ったりします。つまるところ、フランスといえばかつての『宗教戦争』の最前線だったわけで。
故に彼らは公的な場における宗教的シンボルを必要以上に恐れているんじゃないかと。かつての悲劇を思い出してしまうから。それを単純に彼らフランスの偏狭さや宗教摩擦のみで見てしまうのは、あんまりフェアではないと思うんですよね。
例えば私たち日本でいえば、核兵器に対して一般的により強い忌避感を抱いたりしているわけだし。それは私たち日本人が特別に「優れている」わけではなくて、やっぱり被爆国という歴史があるからこそそうなっているように。


それこそザ・宗教戦争の代名詞の一つとも言えるフランスのユグノー戦争は、それはもうロクでもないものだったわけでありまして。単純な内戦だったらともかく、それは宗派を同じくする外国からの援助と干渉しまくりの、ある種の代理戦争だった。どう言い繕ったとしても宗教対立は、しばしば、内外問わず戦争の理由になってきた。
それはやっぱり彼らの負の歴史でもあるわけで。また逆にそうした反省があるからこそ、彼らヨーロッパは宗教対立を棚上げする術を学んだともいえる。「宗教的なシンボル(と見られるもの)を公的な場に持ち出さない」それこそが彼らにとっての宗教からの自由、そして戦争回避の一つであると学んだ彼ら。勿論それが現在世界でも同様に通用するかどうかは議論の分かれる所なんだけど、しかしその伝統的精神を捨て去れだなんて簡単に言うことはできない。
それこそが彼らの伝統的な「宗教の自由」の成功の一端であるんだから。*1


で、それってどう見ても現在のバーレーンですよね。
湾岸協力会議、バーレーンへの介入を擁護 イランを批判 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
一方はほとんど公的に近いレベルでイランの関与が噂され、そしてもう一方には湾岸協力会議が現実に武力介入している。もちろん、現在のバーレーンの構図をただその宗教対立のみで語るのは間違っているんだけど、シーア派スンニ派、しかしこの要素が存在しているのは事実でもあります。
そんなバーレーンのように周辺大国から宗教を名目に介入を受けて翻弄される様子を見たら、やはり現在のフランスの対応も今も一つの解答なのかなぁと思ったりします。現在のバーレーンと周辺国は、まさに16〜17世紀宗教戦争に明け暮れたヨーロッパを彷彿とさせずにはいられないから。
みなさんはいかがお考えですか?

*1:これと似たような話に『多重国籍』がありますよね。やっぱりそれもかつて「戦争の理由」になってきて、今ではその意味がやや薄まってはきている。