リビア問題が突きつけているもの

現代国際関係のジレンマ、のお話。


英仏伊、リビア反体制派に軍事顧問団 米は20億円相当の直接支援へ 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
リビア反体制派、チュニジア国境の検問所を制圧 米軍は無人機投入へ 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで『ザ・戦力の逐次投入』なリビア情勢であります。はじめっから全力で短期決戦しておけば被害も少なかっただろうにね、というのはあまりにもあんまりな意見ですけど、大体あってる。
物語の中ではそうした愚を犯してしまうのは大抵、指揮官の無能さ、によってなんですけれども、しかし現実はもっと複雑に「正当性」や「(国際)法の問題」からそれが起きてしまう。それが単に「指揮官の無能さ」だけだったなら話は簡単だったのに、でも現実世界ではそうはならなかった。いやー現実ってコワイ。

リビア政府軍の包囲が続く西部ミスラタ(Misrata)で、欧米諸国の介入拡大を求めるスローガンを掲げる若者たちのグループ(2011年4月19日撮影)。(c)AFP/ODD ANDERSEN

英仏伊、リビア反体制派に軍事顧問団 米は20億円相当の直接支援へ 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

さて置き、これってすごい皮肉なお話ですよね。「欧米諸国の介入拡大を求めるスローガン」だなんて。かつてのイラクアフガニスタンと全く逆の事が言われていている現状。
もちろん現に介入している一部ヨーロッパとしては本音としてはそうやりたいのは山々なんだけど、それでもこれまでに訴えてきた「正当性」や「(国際)法の問題」から彼らにフリーハンドなんてものは当然存在していないし、そもそもアメリカ抜きではその「能力」自体さえない。
アメリカがコソボ紛争から学んだもう一つの教訓 - maukitiの日記
そしてアメリカとしては、まさに前回のユーゴスラビアへの一連の介入で学んだ反省を存分に活かして、今回はそれを座視した。だってもし仮にアメリカがやる気になったとしても、やっぱり上記のような問題によって、能力があったとしても足を引っ張られてしまうだろうから。


そこに介入すれば勿論人は死ぬし、しかし、黙ってほっといても結局人は死ぬ。
過剰な介入は国家主権を犯してしまうことになるけども、しかし、迅速に介入すればするほど被害は減る。


一般に前者のような非難の声が強いのがイラクアフガニスタンであり、そして後者が一般に(前者の声に較べれば)賛成されるユーゴスラビアや現在リビアである。そんな、現代の世界に生きる私たちの国際体制を語る上で、避けることのできないあるあるジレンマ。
一体私たちはどうすればいいんでしょうね?