とある誠実な男の悲喜劇 その2

昨日の日記で書き忘れたお話。


痛いニュース(ノ∀`) : ホリエモン、「モヒカン頭」「GO TO JAIL(+企業名)Tシャツ」で出頭・収監へ - ライブドアブログ
昨日の日記書いてから本日刑務所へ行かれたことを知りました。狙ったわけじゃないのにタイミングいいですね。ということで、なぜ彼は収監されるまでに至ってしまったのか? についての適当なお話。
ちなみにその1の方はこちら。
とある誠実な男の悲喜劇 - maukitiの日記
構図的にはこの人と近いと思うんです。結局のところ、彼らは「何故自分がここまで批判されたのか?」について認識はしているんだろうけど、しかし本人は最後まで理解も納得できていなかったんだろうなぁ、と。
彼は今でも自分は正しかったと信じていて、確かにそれはある程度までは、客観的にも正しい。


だからこそ上記のような「俺が刑務所行きならこいつらも刑務所行きだろ!」というTシャツであるし、あるいは昨日の日記で書いた「格差問題の根本は「ねたみやひがみ」である」なんて言ってしまう。
それは確かにそれなりに正しい。
でも彼は世間のルサンチマン・嫉妬心・成金や金持ちへの反発というものを、ぶっちゃけてしまえば、ナメてたんですよね。だからこそ彼は正しく「特別に」刑務所にまで行ってしまった。まぁ逆に彼へ同情的な表現をすれば、あるいは自分がそうしたことができるのだから、世間の人も同じ様に出来るにちがいない、ということを無邪気に信じていた*1


でもそんなことは、まったく、悲しいほどに、世間の人びとには通じなかった。


彼は「何故真の金持ちが表に出てこないのか」ということを理解していないだろうし、そして何故そんな不合理で無意味な「出る杭を打つ」ような嫉妬や反発が巻き起こってしまうのか、今でも理解できていないんじゃないかと思うんですよね。
つまり、古今東西いつだってお金持ちは汚れ仕事を貧乏人にやらせてきたし、そしてそれは何故かって、古今東西いつだって金持ちは持たざる人の嫉妬の対象となってきたという事実を。
一般に成熟した社会であればあるほど「持つ者」であるお金持ちや権力者は世間体やイメージ戦略を大事にするものなのに。それはその方が利益になるという意味でもあるし、そして本質的に、常に「持たざる人びと」から攻撃されうる存在である事を自覚しているからこそ。別にそれは奥ゆかしいとか、後ろめたい事があるとかそういう理由だけじゃなくて、もっと根本的な『自己防衛』の方法であるからこそ。


この二人の本当の悲劇は、その立場故に、本来大多数の一般的な人びとには許される贅沢であるそんな『些細な欠点』が許されなかったということにあるんじゃないかと思うんです。逆に喜劇としては、その自らの地位にふさわしい振る舞いをできないのに、何故そんな場所に立ってしまったのか、という点でもあるんですけど。
「その1の彼」はその家柄と資産故に、そして「その2の彼」は才能と商才故に、彼らはそこに立ってしまった。
その意味で、前回の彼よりは今回の彼の方がまだマシである、とは言えます。

*1:彼の殊更に強調されてしまう「人をバカにしたような」態度って、そういう理由もあるんじゃなかなと。何故そんなこともできないのだろうか? 的な。