橋下さんの政治版『信用創造』術

また微妙に以前の日記の続き。例の如く、別に彼を批判するつもりも肯定するつもりもありませんので、その辺は許してください。
とある民主党の存在理由 - maukitiの日記
橋下さんにできて民主党にできなかったもの - maukitiの日記
ということで現政権与党である民主党が失敗し、そして大阪市長である橋下さんは「それなりに」成功した橋下さん。いつだって改革を訴える人たちにとって、その最初の成功こそがその後の運命を決めるのに重要な試金石であるわけです。当選直後の余韻だけではなく、続けて現実に改革を(どんなに小さな勝利であろうと)実現して見せるからこそ、有権者な人びとはその改革者に長期的について行くことをもう一度選択しようとするのです。


上記日記では、その意味で彼はおそらくその最初の「小さな勝利」によって少なくとも逃げ切りには成功するんじゃないでしょうかと書きましたけど、そんな予想よりも更に上を行く、
asahi.com(朝日新聞社):維新の会、衆院200議席を目標 300人擁立を検討 - 関西ニュース一般
なんてことをぶち上げているそうです。まぁ大阪府知事から大阪市長と、勝負を続けていった事を考えれば別に不思議ではありませんよね。
だから今回の事についての「何故今そんなことをやろうとするのか」という批判は微妙にズレているわけです。むしろ「今だからこそ」彼はこんなことを言い出しているのでしょう。選挙に勝利しただけでなく、その改革に(小さな一歩であろうと)成功した今でなければならない。
将来このまま成功しようが失敗しようがいずれにせよ必ず来るであろう、有権者達が目が覚め冷静になった時では遅いのです。まさに文字通り時が味方している今だからこそ、彼らはこんな大きなことを言い出している。


まさに彼は最初の大阪府知事時代の勝利を担保にして、そして間を置かずに更なる大きな勝負を仕掛けるという点で、見事にその文字通り政治的影響力の『信用創造』に成功しているんじゃないかなぁと。「選挙の当選」とその直後の「小さくても解りやすい改革」を連鎖的に繰り返す事によって、結果として、その橋下さんと維新の会とやらの本源的影響力は派生的影響力を創造することで増大していく。


その意味で、例えば民主党が見事に失敗している多くの人が不満を抱えているであろう「公務員給料の削減」等を掲げて戦えば、200議席は行き過ぎだとしてもおそらくそれなりに勝ってしまうんじゃないでしょうか。そしてもし更にその先があるとすれば……、まぁそういうことではあるのかなぁと。いつか見た風景の様に。そこまで彼が連戦連勝を続けていくのかは解りませんけど。
そんな橋下さんの『信用創造』術について。まぁ是非はともかくとして、よくできたシステムだなぁと感心するしかありません。