真・地獄とは所得の格差なり

タイトル使い回し。半年前にはこんなもっとピッタリなことが起きるなんて想定もしていなかったので仕方なかったんです。急にデモが爆発しちゃうから。QBKです。


池田信夫 blog : 真の格差はどこにあるか

世界には年収が3000ドル以下のBOPと呼ばれる層が40億人もいる。「1%の金持ちが富を独占している」と騒ぐデモに参加している人々は、世界の中では富裕層なのだ。GlobalRichListによれば、2003年の為替レート(1ドル=110円)で年収550万円あれば、上位1%に入る。今なら400万円あれば、あなたは世界の1%の富裕層だ。

池田信夫 blog : 真の格差はどこにあるか

最近ではすっかりネタキャラとして定着しつつある池田「信夫」大先生ではありますけど、この部分に関しては概ね同意するしかありません。つまるところその格差を訴える人たちだって世界的に見れば富裕層なんですよ、と。ええまさにその通りであります。まぁそれを言ったところで何の解決にもならないわけですけど。


ということで「故にこのデモはけしからん」と言ったところで、やっぱり意味はないわけであります。ついでに彼らの怒りが正当でないとか、格差の原因が富裕者層に・経済学者に・政府にあるからだとかそういう話でもないんです。私たちの怒りが頂点に達し行動に移るのは彼らの苦境『貧困』そのものが引き金なるわけじゃないんだから。いつだってその『格差』こそが私たちの心の琴線に触れまくるのです(誤用)。絶望が怒りへと昇華する瞬間。
ただ食えなくなった時ではなく、食えなくなったその瞬間に横でリムジン乗った金持ちが通り過ぎること、こそが重要なんですよね。
こんなことは少し前のエジプトやチュニジアの時にも言われていた話ではあるし、もっと言えばフランス革命からずっとそうだった。私たちは貧しいから怒るのではなく、その格差こそが許せないのだと。


その意味で、彼が真の問題と仰る日本の『世代間格差』が今回のような大きな問題になるのかというと結構怪しいと思うんです。それは別に世代間格差が「将来インフレ等による資産価値の目減りによって解決するから」とかそういった話ではなくて、単純に両者を比較することができないから。
あいつらの若い頃は〜、俺たちが年寄りになったら〜、と幾らでも仮定を重ねることはできるしおそらくかなりの部分正しいんだろうけども、しかしやっぱりそれはどこまでいっても想像上のモデルに過ぎない。全く属性の違うものを単純比較できないように、現実に目に見えて押し寄せる格差の光景とはならない。だからこそ恐ろしいとも言えるんでしょう。もっと解りやすく目に見えていれば彼らのように是正を訴え怒ることだってできるのだから。
しかしそんな怒るべき対象が隣に居なかったらどうしようもない。


「自覚症状のない病気こそが真に恐ろしい」という普通のオチでした。