「見せしめ」として苦しめられるギリシャ

確かにあまり意味はないけれども、しかしまぁそこに至ったのは自業自得なのでがんばれとしか言いようがありません。なお話。


「劣等生ギリシャ」国民の意外な本音 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
うわー、もうこれまでも何度も書いてきましたけどギリシャくんは相変わらずだなぁ。
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昨日なんかはデモの人びとが政府庁舎を占拠したそうですよ。この絵どっかで似たようなの見たなぁと思ったら『アラブの春』真っ盛りのころのバーレーンでした。対抗してもう一度『バルカンの春』でも始めちゃえばいいんじゃないかな。


しかしまぁギリシャにはアレな人ばっかりというわけでは勿論なくて、

  9月26日(ブルームバーグ):ギリシャ国民の大半は、同国国債のデフォルト(債務不履行)が避けられないとみている。ギリシャ紙ト・パロンとプロト・テマの日曜版が伝えた2つの世論調査の結果から明らかになった。
  ト・パロンの委託で調査会社ラスが1002人を対象に実施した調査によれば、59%がギリシャはデフォルトを避けられないと考えており、回避できるとの回答は32%にとどまった。調査は9月13−15日に行われた。調査会社アルコがプロト・テマの委託で実施した調査でも、57%がデフォルトは不可避と答えた。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aLfjSxa1QwrQ

な人もちゃんといらっしゃるわけです。まぁいつだって声がデカい人が目立つというお話ではあるんですけど。


さて置き、こうした一部のギリシャの人びとが叫ぶ「債務なんて知ったことか」な態度と、そして支援の規模で綱引きを続ける欧州各国から見ることができるのは、典型的な『モラルハザード』な状況であるわけです。
つまりギリシャを救うことは当然としても、しかし彼らを外部からの援助で完全に救済してしまったら、そこでは今後「自らを助ける」という誘因が失われてしまう。上記最初のニューズウィークのお話なんてほぼそのまんまですよね。それでは今後、あとに続く人が誰しもその道をたどってしまうではないのか、と。ギリシャの後には一体何人続くんでしょうね?


ギリシャ議会が不動産税導入を可決、追加支援に向け一歩| Reuters
だからこそそんな国民の反発とは裏腹にギリシャ議会ではそれはもう粛々と緊縮措置を進めているわけです。「私たちのモラルは破綻していない」ということを証明し続けている。
その意味で、ギリシャの人びとが「自分たちは不当に苦しめられている」というアレな発言は、実はそれなりに的を射ているんです。そこでは誰もがギリシャそのものを問題としていない。その緊縮措置の実効性そのものが問題なのではなく、半ば見せしめとして両者の合意としてそれを続けないわけにはいかないのだから。
身も蓋もない話をすれば(ユーロ全体のGDPの内せいぜい2〜3%に過ぎない)ギリシャ自体はどうでもよくて、真の問題はそのうしろに続く人たちなわけです。ギリシャを救うことに失敗するのは勿論のこと、しかもただ成功するだけじゃなく、多すぎず少なすぎず「適切な規模」で救わなければ遠からずまた失敗と同様の結末になってしまう。そこにこそ彼らの苦しみは意味はあるのだと。いやぁめんどくさいお話ですよね。