リベラリズム対リベラリズム

こんな一見してちょっとよく解らないケンカが見られるのはアメリカだけ! そんな『(大きな政府)リベラル派』対『(経済自由主義リベラリズム』というお話。キャピトル・ヒルで僕と握手!


オバマ氏、共和党政策「効果上げたためしない」 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということで「政治的にリベラル派なオバマさんが、共和党のリベラル政策――自由放任主義を攻撃する」という、え、なにこれ、ギャグ? な様相でとっても愉快なお話ですよね。

 大統領選の本格化を前に共和党批判を強めているオバマ氏だが、「小さな政府」を掲げる共和党の理念にまで切り込んで対決姿勢をあらわにするのは異例だ。

 オサワトミーは、共和党セオドア・ルーズベルト元大統領が退任後の1910年、経済的公平の重要性を訴える演説を行った地として知られる。オバマ氏はルーズベルト氏の言説を引きながら、現在も懸命に働く多くの人々が報われず、富が一部に集中していると強調した。

オバマ氏、共和党政策「効果上げたためしない」 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

まぁなんというかセオドア・ルーズベルトさんの言葉を持ち出す辺りどう見てもケンカを売ってますよね。まさに彼はその後に共和党に失望し捨てたわけだから。そんな彼の革新党のせいで、アメリカで『リベラル』の意味が逆転し、タイトルのような意味の解らない構図が誕生したわけですけど。富の再分配たるニューディールをしたいなら、素直にフランクリンさんの方のルーズベルトさんの方を言っておけばいいのに。まぁ場所柄と合わせて、敢えてそれをやるのがいかにも捻くれたオバマさんらしいと言えばらしいのですけど。
ともあれそんな彼が、小さな政府批判をし、共和党を捨てたセオドア・ルーズベルトさんの言葉を引いて、そしてニューディールを主張する、なんというか三拍子そろいまくってますね。まぁこれも時代なのかなぁと。
オバマの目が攻撃色に! 大気が怒りに満ちておる……」


さて置き、最近とみに『1930年代への回帰』なんてことが語られたりしますけど、やっぱり国際関係的なあれこれよりも、国内経済政策についてのアメリカでのこういう話を見ると「ああ似ているなぁ」としみじみ思ってしまいます。あの頃も大恐慌後に、市場主義が決定的に信頼を失って、ケインズ流の大きな政府論が興隆した時代でもあったわけだから。その意味で今の経済危機後に信頼を失った市場主義という点でそっくりだなぁと。
ついでにあの頃は資本主義そのものへの信頼を失った時期でもあります。もちろん1930年代のあの頃はその対抗馬たる計画経済と共産主義という存在があったわけですけど、しかしもうすぐ2012年になろうとする現在はまともな対抗馬が居ないのにも関わらず、資本主義の信頼が失われつつあると。そりゃみんなして「一体なんでこんなことに」という気持ちにもなってしまいますよね。
私たちは代わりのなにか、新しい『考え方』を見つけることができるんでしょうかね?