次の米国大統領もたぶん国内優先な人の方がいいんじゃないかな

鬼が笑うお話ではありますけど。


中間選挙「共和党勝利」で、アメリカは右傾化するのか | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということで恒例のネタとして、中間選挙が終わると『次の』大統領のお話になるわけであります。まぁオバマさんには残り任期ゴルフでもやっててもらうとしても、アメリカ以外の国に住む私たちは新たな米国大統領の動向を気にしないわけにはいかない。アメリカを無視するには世界は小さすぎる。
ただ、幾らオバマさんが外交政策を地味な扱いしかしてこなかった――押し寄せる外交問題に国内的に誠実に対話することを諦めた――からといって、じゃあ次こそイスラム国やウクライナなどの外交政策に熱心な大統領でもいいのかというと、やっぱりそれはそれで困ってしまうお話でもあるんですよね。

 例えばISIL(自称「イスラム国)の問題に関して、共和党オバマのことを弱腰だと批判しています。ですが、実際には共和党にも地上軍を派遣してイラク領内からISILを追放する覚悟はありません。

 ウクライナをめぐってオバマはロシアに対して弱腰だという批判もしていますが、ロシアとの関係、特にプーチンとの関係で言えば、ジョージ・W・ブッシュコンドリーザ・ライス(当時の国務長官)のコンビで外交をやっていた時点では、極めて友好的だったことも忘れてはなりません。

 中国に関してはどうでしょう? 共和党はもともと「反共の党」であり「台湾ロビーの影響下にある」から、反中国であって、日本に取っては頼もしいというイメージがあるかもしれませんが、これも疑わしいと思います。

 現在の共和党は、ブッシュの8年間に「江沢民胡錦濤との蜜月」を実現したことに象徴されるように、どちらかと言えば親中国の姿勢が明らかです。米国企業が生産拠点として中国に依存することも推進してきましたし、その場合の国内雇用の減少は民主党に比べて問題にしないという傾向があります。

 何よりも、イデオロギーにとらわれず大胆な現実主義路線を展開する点で、共和党の外交は民主党よりも柔軟です。毛沢東周恩来を相手に隠密外交を展開して世界をアッと言わせたキッシンジャー外交を行ったのが、共和党ニクソン政権であることを忘れてはならないと思います。

中間選挙「共和党勝利」で、アメリカは右傾化するのか | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

冷泉先生はこのように仰っておるわけですけども、まぁ概ねその通りなのでしょう。中国台頭という現実の真正面に立たされる私たち日本としては、本音を言えば、ぶっちゃけアメリカがまだしばらくはケツ持ちで居てくれた方がありがたい。ただ、対ロシアや中東での騒動を考えると、そちらに主眼を置いた「結果として」アメリカが中国と取引する可能性は決して少なくないんですよね。その事例の筆頭の歴史としてあるのが上記引用先にもある米中和解=ニクソンショックだったわけで。
――まさに日本を飛び越えて、両者の和解そのものではなく別問題のバーターとして、アメリカと中国が手を組んだ歴史。
もしアメリカがウクライナだのイスラム国だのを本気でどうにかしようとするならば、世界第二位の大国である中国の協力を得る為に再び『米中接近』が起こることはそれなりに考えられるお話ですよね。それこそ南シナや東シナでの黙認をバーターにされたら本気で困ってしまいます。まぁ太平洋を自分のものだと思っていてくれる限りは大丈夫そうですが。


ちなみにアメリカの国際関係において内向きな大統領によって外交政策が中心政策から後退すると、代わりに大きな割合を占めるようになるのが貿易政策だったりするんですよね。貿易政策は国内の経済問題に直結するから。まさにあのクリントン政権時代の日米貿易摩擦ってただ日本の経済成長という要因だけでなく、そうした当時の政権の内実からも生まれたわけです。
つまり、冷戦構造における戦略的パートナーだった対日本の関係は、それまで政治を優先されてきたことで潜在的にあった貿易問題が封印されていた。ところが冷戦が終わって政治が後退すると、これまで抑えられてきた鬱憤が一気に日本への貿易政策への不満として噴出した。だからこそ、あのタイミングであのような大問題に発展したのです。
この構図って実はかなり現代中国にも当てはまるお話でもあったりするんですよね。だからこそ同じく「内向き」とされるオバマ政権って対中政策としては、実は現状の共和党よりも厳し目だったりもするわけで。実際、子ブッシュさん時代にはプーチンさんと同様に中国とも『対テロ戦争』の為の協力という背景があったものの、逆にそんな協力を必要としないオバマ政権は外交的に中国に配慮する余地も少なかったのでした。


まぁやっぱり再来年のお話なんて鬼が笑うレベルの未来予想ではありますが、しかし尚も世界のスーパーパワーたるアメリカを無視するには世界は小さすぎますよね。故に部外者でいられない私たちはその新しい米国大統領のことを気にしないわけにはいかないのです。
みなさんはいかがお考えでしょうか?