いったいなんでこんなことになってしまったのかin民主党政権

そろそろ「一度やらせてみた」結果が出てきた人たちのお話。


来年度予算案:マニフェスト総崩れ 現役世代に負担感 - 毎日jp(毎日新聞)
無駄削減より「ばらまき」…民主も「自民党化」 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということで『マニフェスト総崩れ』だとか『自民党化』だとか言いたい放題言われている民主党政権の皆様について。
しかしはじめから殊更に彼らのマニフェストに怒り心頭だったりあるいは冷笑的だった人からすれば、多分に自業自得な面は大きいので「ご愁傷様です」というお話でしかないのでしょう。まぁそれでも個人的にはやっぱり今年の大震災はそれを『言い訳』に使えるほどだったとは思いますけど、生まれたばかりの彼ら政権与党という立場上あまりそれを前面に押し出すわけにもいかずこういう煮え切らない形になってしまったのも仕方ない話かなぁと。
ともあれその是非はさて置くとして、こうして彼らのマニフェストは見事に総崩れになってしまったわけですけど、こうした事態を招いてしまったことについて、じゃあ彼らは一体どんな反省をしているんでしょうね?
彼らはこうして失敗してしまうことをはじめから解っていて言い出したのか、それとも本気で成功すると思って現在に至っているのか。両者は同じ失敗の結末でも似ているようで全然違うわけで。そのファンタジーな公約について、計算で言っていたのか、本気でそれを信じていたのか? 彼らは実際の所「無知の知」だったのか、それとも「無知の無知」だったのか?
その辺を別に広く一般に明らかにしろとまでは言わないので、せめて党内で反省会でもしてくれるといいなぁと願う次第であります。


さて置き、だからといって、こうして失敗したのは別に民主党自体の無能さだけが招いた事態だとも思えないんですよね。結局のところ、私たち国民全体としても緊縮ではなくバラマキを求めていたわけだから。彼らは「負担(増税)なしにバラマキができます」と約束し、そして『負担なしに』の部分で失敗したのであって、だからといってその後半部分が無くなることは当然できるはずがないのでした。民主党はそれこそかつての自民党と同様に、そうした私たち有権者における支配的な『考え方』というしがらみを断つことなんてできなかったのです。その意味で「自民党化」なんて揶揄はかなり適切な言い方であり、そして同時に日本の政治における「一般化」でもあるのでしょう。
彼らは進歩したのでも後退したのでもなく、ただ単純に元の姿に回帰しただけなのだと。民主党は支持者たちが信じていたほど優秀ではなかったし、かといって批判者たちが言うほどのバカでもなく、ごくふつうに『空気』を読んだ結果こうして現在のような『マニフェスト総崩れ』な状況が生まれたわけだから。それを喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、こんな時どんな顔をしたらいいかわかりませんよね。


しかしこうした日本の政治状況を見ていると、別に町に繰り出してデモをしろなんてこと言いませんけど、政権にあるのが民主党だろうが自民党だろうが、おそらく歴史上で最も進歩した民主主義社会に生きる私たち有権者自身の(ケインズさんが『一般理論』の終わりで述べているような*1)主流の『考え方』が変わらない限り、当たり前の帰結として政治家たちにも変えられないのだろうなぁ、と諦観してしまいます。
結局のところ、そしてやっぱり、名前や外見だけ変われば満足だった人びとこそが主流派だったのだと。
皆さんはいかがお考えでしょうか?

*1:「経済学者や政治哲学者たちの発想というのは、それが正しい場合にもまちがっている場合にも、一般に思われているよりずっと強力なものです。というか、それ以外に世界を支配するものはほとんどありません。」http://www.genpaku.org/generaltheory/general24.htmlより