財政問題における影響という点でそれは戦争に唯一等しい

と、ある経済学者の方も仰っていましたし*1。そんなある種の『戦争状態』にある私たち高齢化社会について。一昨日の「そりゃ少子化にもなるよなぁ」な日記を書いていて改めて思った、だから「年金問題はコワイ」なお話。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34558
まぁ結局のところ、こういう話に行き着かざるを得ないんじゃないかと思うんですよね。
「75歳定年」首相発言が波紋 高福祉のスウェーデンで - 47NEWS(よんななニュース)
それは高福祉の代表たるスウェーデンでもやっぱりそういう話でもあるわけで。人口を増やせない以上こうするしかないのだと。


データを見れば人口減少の深刻さは自明。 なぜ人口を増やす政策を総動員しないのか|出口治明の提言:日本の優先順位|ダイヤモンド・オンライン
勿論解決策としてベストな選択肢でもある「人口増」を出来たらいいんですけど、しかしまぁ先進国であればあるほどそれは一般に難しいわけですよね。上記フランスの成功例にしたって、それが普遍的に上手くいくはずなんかないということを、結果的にそれに失敗している少子化に悩む無数の国家たちの存在が証明してもいるわけで。最早私たちの進歩したコモンセンスにおいて「女性は産む機械」なんて許されないわけだから。一般に、女性の教育レベルや社会進出が進めば進むほど子供の数が減るという身も蓋もない現実において、しかし今更それを逆戻りさせることなんてできるはずがない。
ということで、かつての大戦時にあったような態勢――戦場に行った若者たちに代わって労働力を担わせる(そして結果的に女性の社会進出の一助ともなった)女性やら老人(子供)やらを働かせる――によって労働人口を確保する以外に、まぁ現実的な回答はないんじゃないかと思うんですよね。
本来社会を支えるはずだった大多数の若者たちが消えた、という点でやはりそれは戦争状態にあるのだと。ならば当然その非常事態に合わせた態勢をとるしかありませんよね。


しかしまぁこの問題において最も難しいのが誰がその反対する老人たちを誰が説得するのか、という問題でもあるわけです。「貰えるはずだった年金を減らされたくない」あるいは「ここまでがんばった俺はもう働きたくない」という現在いる人をどうやって説得すればいいのか? (ちなみにそうでない若い人の場合、上記雇用問題のような誤解さえ解ければ、元々はじめから選択肢などないので賛成する以外にない)
で、それをやろうとした場合上記スウェーデンやあるいは私たち日本のように、投票率や『高齢化社会』たる有権者の割合というどうしようもない壁によって「民主主義的に正しく」拒否されてしまうのでした。この構図は最早誰が悪いとかそういう問題ですらありませんよね。当然の帰結というしかない。いやぁ民主主義って素晴らしいなぁ。
かくして、しばしば戦争においては合理化という名の下に民主主義はおざなりにされていくわけですけど、では今度の『戦争状態』ではどうなってしまうんでしょうね?

*1:経済学者デビッド・ヘイル先生のお言葉。『市場対国家㊦』P311