ということで盛り上がってるワタミさんちの会長様のお話。
http://rocketnews24.com/2012/02/23/185709/
まぁテレサ先生の仰る通りではあります。ちなみにこの発言は改変されたという話がありますけどそれはまぁ別のお話*1ということで。ともあれまぁ、聖書にも書いてあるように「愛は自慢せず、高ぶらない」という辺りの理解でよろしいのではないでしょうか。
しかし別にバングラディッシュに学校を作ろうとすること自体は当然批判されることではないんですよね。むしろ何もせずにただ批判するよりもずっと有益なことをやっていると言えるでしょう。例えそれが偽善だと言われたとして、何もしないよりもずっと、ぶっちゃけ何倍もマシなのです。
先日の『動物の権利運動』の日記でも少し書きましたけど、結局のところ大多数の彼ら企業のやっている寄付の分散は慈善以外のものでしかなく、身も蓋もなく言ってしまえば企業の広報戦略の一環であるわけです。だからこそ彼らはその美しき寄付行為を自ら大々的に喧伝するのです。しかしながら、それ自体を偽善だなんて非難することはあまりフェアではありませんよね。だってそれで救われる人は確実に存在してもいるわけだから。
故にそんな宣伝目的の慈善行為はお互いにある種のwin-winの関係でもあり、つまりそうした宣伝効果はそんな暗黙の了解のもとに為されているのです。ある種の売名行為でありながらも、しかしやらない偽善よりもやる偽善の方がずっとマシだろうと。
でもこんなことは多少教育を受けた大人・社会人であれば誰にだって解っているはずなんです。企業が自らの慈善行為について針小棒大にアピールしていることを全てそのまんま受け取っている平和な人を除けば。
- 「どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています。」
彼は自分が何を言っているのか、気付いていないのです。
- 「どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。社員から搾取したお金で更に企業イメージの改善に回すことができます。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています。」
彼は自分がこう言っていることに、心底気付いていないのです。
勿論普通の経営者であればこんなバカげたこと絶対に言わないでしょう。しかし彼は見事にそれを言い放ってしまっている。では、その背景はどこにあるのでしょうね?
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- ①その発言の意味している所に気付かないほどの略
- ②自らの思想の正当性を心底確信している
- ③顧客たちはそんな事(広報戦略の建前としての慈善行為)に気付かないほどバカだと思っている
個人的にはこの物言いを聞いていると、しばしば彼のグループについてのブラックな噂について概ねその通りなんだなぁと生暖かい気持ちになってしまいます。まさに社員は企業の為に存在し、社員の犠牲の上に成り立つシステムこそがあるべき姿なのだと。その思想を確信しているのならば上記のような発言が出てくるのも頷ける話ではないのかなぁと。過酷な勤務で死んだとしても、しかしそれは間違っていないし、そして彼女はそれを納得しているだろう、なんて言い切っているのだから。
そんな(正しい意味での)確信犯な人物について。
いやぁこうして見るとこれが悲劇なのか喜劇なのか良く解らなくなってきますよね。「裸の王様は何故裸になったのか?」的なお話を思い出します。
*1:次のサイトに詳しい。マザーテレサの「名言」と伝言ゲーム - TEST - アットウィキ