現代版贖宥状

貧乏人の救済が「我々に」一体何をしてくれるというのだ。



大聖堂火災、「最初の30分が被害拡大防いだ」 仏大統領は5年以内の再建約束 - BBCニュース
我らのノートルダムが大炎上してしまったそうで。世界遺産常連ではあるのでさすがに僕でも知ってます。文化勝利狙うならまぁ取っとくかな位の認識かな!(civ脳)
まぁそこまでは単なる悲劇として語っていればよかったんですが、そこから再建への流れが愉快な構図になってきているそうで。
コラム:ノートルダムが温めたフランス人の冷たい慈善家精神 - ロイター
ノートルダム高額寄付に怒り=反政府デモ激化も-フランス:時事ドットコム
尚も続く黄巾賊イエローベストな運動が続く現状を考えると、まぁ確かにこれ以上ないほど現代社会について風刺のきいたお話だよねえ。

国家の誇りの象徴を修復することは、道徳的に理にかなっている。フランス国内の争乱が続くなか、ノートルダム寺院の再建を手助けすることは、富裕層にとって社会に何らかの形で還元していることを示す良い機会だろう。

 4月16日、コラムニストのEd Cropley and George Hayhaは、ノートルダム大聖堂再建のために多額の寄付が短時間で集まったことについて、慈善活動への関心が低いフランスでは珍しいと指摘。写真は放水される大聖堂。4月15日にパリで撮影(2019年 ロイター/Philippe Wojazer)
残念なのは、国の記念碑がほぼ全焼しないと彼らの凍った財布を解かすことができなかったことだ。

コラム:ノートルダムが温めたフランス人の冷たい慈善家精神 - ロイター

現代の贖宥状かな? 
石は命よりも重い。希少性を考えればその選択は合理的ではあると言える。


 【パリ時事】大火災に見舞われたフランスのパリ中心部にある観光名所、ノートルダム大聖堂の再建のため、大富豪らから多額の寄付金の申し出が相次いでいることに対し、マクロン大統領の政策に反対し昨年11月からデモを続けている抗議運動参加者らは「不公平だ」と不満を募らせている。

ノートルダム高額寄付に怒り=反政府デモ激化も-フランス:時事ドットコム

(端から見ている分には)ひたすら面白いのは、少なくともここで大富豪・大企業な彼らが社会的貢献に繋がると考えている点でしょう。
――貧しい人たちを救うために寄付するよりも。
そしてそれは実際間違っていない。少なくとも(優遇されるのが一般的な)税制度においてはそれは適切であり、つまり国家政府がそのようなメッセージを送っているのだから。彼らの不公平さではなく、むしろ制度の不公正さというべきだよね。いやまあその肝心の『制度』がどうやって決められるのかというと以下略。


見返りを含めた「救うべき価値」があるのは、有象無象の貧乏人たちよりもノートルダムの方だった、というだけ。
フランスも本邦も見習って『コンクリートから人へ』でもやればいいのにね。


過去の欧州キリスト教世界において、まさに教会を建てる費用を稼ぐための『贖宥状』の乱発がどうなったかを考えると、やっぱりこれ以上ないほど風刺のきいたニュースではあると思います。
ノートルダムを救うために寄付金を出すこと自体が善行であることは、おそらく、まちがいない。
だから「人間が善行によって義となる」のか?
今の社会にもどこかにいるかもしれない現代版ルターは一体何を思うのか。


みなさんはいかがお考えでしょうか?