同調圧力未満

そのレベルにさえ達していない、あるいは人は見たいものが見えますよね、なお話。


朝日新聞デジタル:達成なるか、クラス全員年間無欠席 東海大四高3年5組 - 地域の教育ニュース - 教育
まぁクズクズしいお話ですこと。同調圧力って怖いなぁ。おわり。
東海の風46号 『3年5組出席率100%達成目前』
と思ったら全然そういう話じゃないじゃないですかー!

この「出席率100%」は、担任を持てば誰でもが達成したいと思うはずだ。
(略)
そして、6月17日に事件が起こった。女生徒の親からで「体調が悪く休みます」と。「大会前でもあり無理です」とのこと。私は朝のSHRで「終わりました」と報告。みんなは「は〜」怒りマーク100%であった。1時間目の体育を終えた生徒が「○○○さん来ました。廊下で吠えてます。」担任は走った。「おー来たか〜!偉い!」と。しかし彼女からは「なにさこれ〜1100%なんて、うちには関係ないし!こんなんで無理して学校来て身体壊したら誰が責任取るのさ!明日から大会だよ〜〜〜!」後から分かったことだが、クラスの何人もが「休むなよ!」とメールやら電話をしていたらしい。
(略)
今、こうして「卒業式」に望み、「出席率100%」の祝いが出来ること。これはすべて偶然の賜。35人がたまたま誰も休まなかっただけのこと。

東海の風46号 『3年5組出席率100%達成目前』

 「休むなよ!」とメールやら電話があったことを認識にしているにもかかわらず、しかし「偶然」と言い切るその姿には感動すら覚えてしまいます。日頃からそれを煽っておいて、いざ火がついたときに見ていないフリをするのは、確かに扇動者としては上手いやり方だとは思いますけど、しかしそれは『教師』というポジションとは一番遠いところにある話ではないでしょうか。
身も蓋もなくまとめてしまえば、これはただ単純に担任教師による不作為、もっと言ってしまえば『パワーハラスメント』の一種という事案なだけにしか見えません。
だからこれを生徒による『同調圧力』とするのは余りフェアな見方じゃないんじゃないかなぁと。勿論そうした見方もできないことはありませんけど、しかしそんな場の空気こそが支配する『日本社会論』な話ですらなくて、ただ上記を書いている人物こそが最大の利益授受者であり、故に首謀者だったという話だと思うんです。もし、あるブラック企業内での過酷な労働規定の責任を第一義的に求めるのならば、それはその経営者の無能さに求めるモノであって、それを末端社員や中間管理職などに求めるのは間違っているんじゃないのかと。そんなことをしたら、それこそまさに『同調圧力』じゃないですか。
故にこの構図で生徒たちだけを殊更に責めるのは余り賛成できないかなぁと。まぁ教師はそれを認識していながらもそんなことを公に認めることもできなかった、生徒たちの熱意に翻弄された弱者、という穿った見方もできますけどまぁそれはそれで問題ですよね。


ということで、少なくとも僕にはただ単純にそうした教師のエゴ的ななにかを満足させたかっただけ、という構図にしか見えないんですよね。こんなの恐れるべき無言の同調圧力ですらなくて、単なる社会の統制メカニズムの一種でしかない。それはよく挙げられる、『法による支配・暴力による支配・政治的支配』などと同様に、『のけもの扱い』といったやり方(説得と嘲笑、ゴシップ、仲間外れ)だってそれと似たような社会統制の役割を十二分に果たすのです。そしてそれは最強のやり方である暴力による支配と、負けず劣らず残酷なやり方でもあるのです。
実際にそれは多くの人が多少は経験したことのあるやり方でもありますよね。故に「のけもの扱いするぞ!」という脅しは、しばしば、絶大な影響力を発揮するのでした。


教師はそれを扇動し、生徒たちはそれに加担し、かくしてその社会における強制的な『空気』は醸成されていくと。
この構図において一体誰が、もっとも責任が重いのでしょうね?