独裁者による『政治的に正しい』弾圧のやり方

がまた一つ証明されてしまったなぁと。


/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com
CNN.co.jp:国連安保理、シリアへの先遣隊派遣を全会一致で承認
ということでこれまでも何度か書いてきたシリアさんちはようやく終息しつつあるそうで。いやぁ良かったですよね。まぁ一日数十人ペースで殺されていたそれが数人ペースになって良かったね、というお話ではあるんですけど。『減った』という事実としては確かにその通りです。
これでまた、国際社会(=欧米)から批判されずに逆に中国やロシアなどを味方につけつつ、反政府運動を如何にして弾圧しすり潰せばいいのか、という成功例がまた一つ出来てしまったと。
それが珍しいことなのかと言うとやっぱりそんなことはなくて。数万人規模ですり潰されたかつてのイラクやロシアのチェチェンや中国の西の方やら北朝鮮やら、という輝かしい歴史に新しい事例がまた一つ。エジプトやリビアなどの様に独裁者が負けることもあればやっぱりシリアの様に勝つこともある、という当たり前のお話ではあります。

 【国連】国連安全保障理事会は14日、シリアのアサド政権と反体制派の停戦を監視する監視団先遣隊派遣を承認する決議案を採択した。決議では非武装の最大30人の派遣が承認され、すぐにも現地入りする見通し。

 採択は全会一致で、シリア問題での決議でロシアと中国がともに承認したのは今回が初めて。先の草案は、反体制側に有利とのロシアからの反対を受けて修正された。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

しかしまぁ、これってほぼ実質的に国連の敗北宣言ではあるかなぁと。結局、全てが終わったあとで、現状を肯定するしかできない。
今回のシリアでも――数日前の北朝鮮のロケットだのミサイルだのの騒動とまったく同様に――国連は何も出来ませんでしたというオチ。ついでにいうとアラブ連盟などの地域連合にしても無力さを露呈していたので国連ばかり責めるのはフェアではないかもしれませんが。ともあれ、やっぱり今回も実効性のある安保理決議としては中国とロシアの反対で最後まで何も出来なかったのでした。そして全てが終わった後にこうして毒にも薬にもならない発表をするしかない。
国連やアラブ連盟が、シリアで現実に起きていた虐殺についてまったくの無力だった件について。
私たち日本でも以前から、国連や東アジア共同体などに希望を抱いている人は結構いらっしゃいますけど、今回の件について一体どう思っているんでしょうね? 


独裁者の「嫌だわ、早く磨り潰さないと」で、見事にすり潰されてしまった人たち。
確かにそれをアサド大統領による大国間の政治バランスを読みきった能力の賜物だとも言うことはできます。アサドさんはすごいなぁ。かつては西側の事情にも詳しいとされ概ね歓迎された彼の能力が、こんな風に開花してしまうなんて。とっても皮肉なお話ではありますよね。