メキシコからの不法移民の減少

あったらあったで問題なんでしょうけど、なくなったらなくなったでまた色々ありそうですよね。


Shrinking Problem: Illegal Immigration From Mexico | RealClearPolitics
Net Migration from Mexico Falls to Zero—and Perhaps Less | Pew Research Center
ということでアメリカの不法移民問題が縮小しつつあるそうです。当然いつかは終わりは来るはずだったんでしょうけど、まさかこんなに早く来るとは。そしてそれは身も蓋もなく不景気のおかげだったと。まぁ言われてみればそうだろうなぁと納得してしまうお話ではありますよね。

Mitt Romney has been ridiculed for saying that illegal immigrants should "self-deport." But that seems to be exactly what many of them have been doing. The U.S. government has been sending back more illegals lately, but most of the flow to Mexico has been voluntary.

Shrinking Problem: Illegal Immigration From Mexico | RealClearPolitics

それはあのアメリカの保守派な方々が訴えていた強制送還、あるいは法制度や物理的なフェンスの成果ではなくて、むしろ移民な彼らの『自発的な』選択だったとされています。アメリカの住宅価格の崩壊と、そして2007年来の不景気がターニングポイントであったと。そりゃあんな状況を見れば帰りたくなる気持ちも解らなくはありませんけど。
「メキシコ→アメリカ」の流れと「アメリカ→メキシコ」の人間の流れ。1995年〜2000年では前者が後者の四倍以上あったのに、しかし2005〜2010年ではそれも均衡しつつある。上記リンク先ではその説明として、メキシコの国内での出生率の低下(1970年の7.3人から2009年の2.4人へ)と、同時にまた(低成長に苦しむアメリカとは反対に)ついにメキシコにも有望な経済成長がやってきたという点を挙げています。
ハンチントン先生の『分断されるアメリカ』で、メキシコのかつての大統領が「メキシコからアメリカへの不法移民問題は、メキシコが発展すれば解決する」なんて言っていたらしいですけど、ようやくそんな状況が訪れつつあるのでしょうか。そりゃアメリカの相対的なパワーの低下が叫ばれるのも無理もありませんよね。中国の歪む人口動態と同様の、アメリカへの移民の減少について。


ともあれ、やっぱりこうした潮流の変化は将来的に、アメリカに大きな政治的な変化をも生むのかなぁと。