私たちの愛するだぶるすたんだーど

「でもそれも仕方ありませんよね、だって人間だもの」なお話。


チュニジア不法移民がイタリアに大挙流入 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

 イタリアのランペドゥーサ(Lampedusa)島には、この5日間だけで約5000人がチュニジアから押し寄せた。政府筋によると、内務省は治安部隊を沿岸部に派遣し国民の流出を食い止めようとしているという。

 不法移民らは、貧困と政変による治安の悪化を国外脱出の理由として主張している。

チュニジア不法移民がイタリアに大挙流入 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ想定された事態ではありますよね。政変によって難民が発生して周辺国に災難が降りかかると。実際アフリカの多くの国が失敗しまくっているのは単に自分たちのみの国家運営の失敗というだけではなくて、そうした「隣国の政変によって難民流入→その国にも政治的混乱が発生→そこでもまた難民発生→以下略」な不毛な負の連鎖によるどうしようもない天災に近い要素もあるわけで。そう考えると日本は海に囲まれててほんと良かったですよね。しかも単なる海どころか結構な頻度で荒れ狂う日本海おかげで更にその壁は強固な物となっていると。


さて置き本題。結局の所、チュニジアやらエジプトで私たち日本の皆さんが諸手を挙げて「よかったね! おめでとう!」と賛成していたのは、究極的にはやっぱり他人事だからなんですよね。だってそこで幾ら政変が起ころうが、スエズ運河がどうにかなる多少のリスクはあるけども日本にとってはそこまで影響はないし、チュニジアもエジプトもそこまで重要な資源輸出国でもないし、そしてそもそも私たちは彼らの周辺国に住んでいるわけじゃないから。
その意味で欧州や中東地域における周辺国の皆さんが、当初こうした騒乱についてあまり積極的なコメントを出していなかったのは理解できるお話ではあります。だってもしそれが失敗したら、直近に被害を被るのは周辺国の皆さんなんだし、スエズが止まって致命的に経済損益を被る欧州の皆さんなんだから。まさに上記AFPのニュースにある、チュニジアからの難民が押し寄せるイタリアのように。
私たちはぶっちゃけてしまえば、他人事だからこそ、無邪気に民主化を喜んでいられる。
つまりそれは逆に言えば、他人事ではない人は、あんまり喜べない事態だったのもまた事実な訳で。
勿論独裁政権下で苦しむエジプト国民の事を考えれば、それなりに問題だとは考えているけども、しかしそれ以上に考えるのは自国の事であるのは当然の話ではあります。故に、そうした影響を受け得る国家の人たちはあんまり積極的にメッセージを出す事は控えてきた。少なくとも情勢がはっきりするまでは。まぁ中には影響を受けうるアメリカのはずなのに、オバマさんは「ちょっとお前無邪気すぎないか?」なんて批判されていたりしたわけですけど。


私たちは、他人事だからこそ、無邪気にそれに賛成している。ならば世界でもっとも抑圧されているとも言われるディストピアな国家、私たちの隣にあるそんな国家についても同じく無邪気に賛成しているかというと、そんなことまったくないわけで。
世界で最もひどい独裁政権下にある北朝鮮について、直近になにか体制が崩壊することを望んでいるのかというと、まぁそんなことは全くありませんよね。だって北朝鮮が崩壊したら中国も韓国も日本も、巻き添えでそれはもう大変な目にあうと予測されているから。できればそんな政権であっても、今のまま穏便にことが過ぎ去ってほしいと願っている。苦しんでいる北朝鮮の国民は無視してでも。自分たちの国家と国民の安寧の為に。
一方でチュニジアやエジプトのそれを賛美して、しかし一方では北朝鮮という世界でもっともひどい体制の(消極的な)温存を願っている。


いやぁわたしたちのりょうしんってとってもすばらしいですよね。