ユーロ防衛の最初で最後の砦

他人事ながらギリシャさん色々なモノを背負わされて大変そうですよね。まるで物語の主人公のようです。ギリシャがヤバイと世界がヤバイ。セカイ系っぽい。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35252
しかし着々と追い詰められているというかなんというか。まぁその最後のチャンス一体何度目だよ、とも言えてしまうんですけど。

 肝心な点――火を見るより明らかだが不協和音にかき消されてしまっている点――は、重要なのは政策オプションの組み合わせと実行の順番だということだ。赤字の削減は成長にかかっているが、成長はあらかじめ計画された財政規律の枠組みの中でのみ持続可能だ。

 二者択一という観点で考えることは自滅を招く。議論がケインズハイエクという方向に向かった時、ゲームは負けが決まる。

 では、どうすれば正しい政策ミックスを得られるのか? ここで登場するのが信頼性だ。この点で賢明になる起点は、信頼性が動く標的であることを認識することだ。1年前、2年前は、すべてが単純なように思えた。金融危機が莫大な政府債務と赤字を残し、銀行の支払い能力と政府の信用力との間に致命的なフィードバックループを生み出していたからだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35252

うーん、仰るとおりであります。先日の日記でも書きましたけど、こうした二者択一のゼロサムゲームに陥ってしまうとそれはもうロクでもない結果しか待っていないわけで。でも、追い詰められると犯人探しに走ってしまう、というのはまぁありふれた構図ではありますよね。「ドイツが悪い!」とか「ギリシャが悪い!」とか、それをやって何もかも解決したら楽ではあるんですけど、そんなことはまるっとさっぱりあり得ないのでした。
この辺りはうちの国でも似たようなことをやっていてあまり笑えませんので以下略。民主政治ってすばらしいなぁ。
WRAPUP2: ギリシャ、6月17日に再選挙 ECBが一部ギリシャ銀への流動性供給を停止| マネーニュース| 最新経済ニュース | Reuters
ということで取り付け騒ぎ一歩手前にまで至っているギリシャさんちであります。ラッセルミード先生も「再選挙はともかくとしても、取り付け騒ぎはマジヤバイから!」と警告なさっております。まぁ銀行の『取り付け騒ぎ』というと解りやすく決定的な経済危機らしさを演出してくれますので、そういうものなのかもしれませんよね。



そういえば以前から「ドイツは安いユーロを望んでいるからギリシャ残留を望んでいるんだ!」的なことが言われていましたけど、しかし最近の動きを見ているとどう見てもギリシャが抜けるとやっぱり更に安くなるユーロ、といった感じなのでその辺りのことを仰っていた方はいかがお過ごしでしょうか。

 投資家や中央銀行によるユーロ買い意欲の減退を示すこうした兆候が続けば、もう1つの通説にも疑問符が付く。つまり、投資家は最も弱い加盟国がいなくなればユーロは強くなると考えているために、ギリシャによるユーロ離脱の可能性にもかかわらず欧州の資産を喜んで購入する、という説だ。

 ユーロ建て資産に対する投資家の需要は、これまでユーロ安が比較的抑えられてきたことを意味している。だが、アナリストたちは今、ユーロのゆっくりとした転落が始まったと考えている。年末までに1.15ドルか1.10ドルまで下落すると予想する向きもある。ついにユーロにひびが入ったのかもしれない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35241

ギリシャという最初の一国が抜けると連鎖的に一気に全てが崩れ去ってしまう恐怖に怯える人たち。まぁ欧州連合の夢に掛けてきたドイツさんとしては「だから言ったのに!」なポジションなのかもしれません。緊縮を押し付けまくってたりで空回ってましたけど。
ともあれ、いよいよワルシャワ条約機構というかソビエト連邦の崩壊前夜らしくなってきた感じですわくわくしますよね。あの時は東欧から、そして今回は南欧から、ということになるんでしょうか。最後のチャンスを活かせるか否か。まぁあのソ連の時はそんなことをやっている内にクーデターとか起きて関係ないところでトドメを刺されちゃうんですけど。


がんばれユーロ。