最前線にいる人たち

選択の余地がなくなってしまった人たち。


外相会議の声明見送り、ASEAN史上初の事態 - MSN産経ニュース
時事ドットコム:共同声明の採択断念=南シナ海問題で決裂−ASEAN外相
へー史上初の事態ですって。でもまぁただ単純に中国の影響力が現在になって決定的に勃興してきただけ、ということの解りやすい証左でもありますよね。そしてその反対側にアメリカさんが否応なく立つことになると。ということでそんな「史上初の事態」は今後のASEANではそう珍しくもない光景となっていくのでしょう。東南アジアにおけるパワーバランスの均衡点。いやぁその最前線にいる人たちは大変そうです。

 会議の討議内容や決定事項などを記した共同声明類が出されないのは、ASEANの45年の歴史上初めてという。2015年のASEAN共同体実現を控え、大きな不安を残す事態となった。

 共同声明をめぐっては、フィリピンが南シナ海スカボロー礁での中国艦船とのにらみ合い事件を明記するよう要求。ベトナムも自国近海での中国による石油開発計画を念頭に排他的経済水域の尊重などを盛り込むよう求め、これらを拒否する親中派カンボジアと対立していた。(共同)

外相会議の声明見送り、ASEAN史上初の事態 - MSN産経ニュース

しかしまぁアメリカさんとしてはどちらに転んでも上手い手ではあるし、逆に中国さんとしては受けても拒否しても追い詰められてしまうという嫌な状況ではあります。
よく言われているように、元々のアメリカさんのポジションとしては「個別の領土問題には関与しない」というのは基本的なスタンスであるわけです。だからこそアメリカさんとしては、自分が動かなくても済む『行動規範』が出来ることを本気で望んでいるし、断られたら断られたで中国の脅威を強調できてしまうわけで。
かといって中国さんは――国内事情としても――前者を採るなんてこと当然できもしないので、こうした構図に帰結してしまうと。


かくして南シナ海周辺におけるアメリカ軍の(同時にまた在日米軍の)重要性はまた高まってしまうのでした。


やっぱりそれは私たちにも他人事ではなくて、最近の日本でも「沖縄の米軍基地がー」なんて騒がれていますけど、むしろそっちの脅威の方を減らした方がよっぽど上手くいくのになぁと他人事としては考えてしまいます。中国の脅威が高まれば高まるほど、アメリカ側の大義名分はより強固となっていってしまうんだから。本当にそこが平和であるのならば、新型のオスプレイなんかも来なくても済んだはずなのに。
むしろ因果関係を考えたらアメリカを説得するより先にそっちを説得するほうが近道なんじゃないのかと。まぁ運動をする人たちが中国よりもアメリカの方が話を聞いてくれるだろうと考えているのならば、ある意味納得してしまいますけど。
「日本は沖縄から退くべき」中国軍少将がラジオで暴言 韓国紙報道 - MSN産経ニュース
だからこそ沖縄の『反米』な活動が延々と盛り上がっているんだろう、というのはつまりそういうことなのでしょう。かつてのベトナム戦争でも見られたような構図。南シナ海のそれと同様に、私たち日本の沖縄もやはりある種の最前線なんだろうなぁと。そりゃ中国の側だけでなく日本の側も、議員が尖閣上陸だの土地の購入だのと色々と盛り上がってしまいますよね。
実のところ、この議論がかみ合わないのはそうした理由があるんじゃないかと思っています。最前線にいることを自覚している人たちと、それが見えていない・見ないフリをしている人たち。



最前線の人たちは色々大変だなぁと。