オリンピックに残された最後の良心のようなもの

あるいは世界の共通言語たるtwitterあるある。


<ロンドン五輪>パパフリストゥ選手、差別発言で代表外れる(毎日新聞) - ロンドンオリンピック Yahoo!スポーツ×スポーツナビ
わーたのしそー。まぁ個人的にはバカなこと言ってしまったなぁとは思いますけど、だからといってそういう方向へ走ってしまう人たちは(日本含め)世界中にやっぱり無数に居るわけなので、それ自体を彼女に向かって責めてもどうしようもありませんよね。そういう人たちはやっぱり今回の件についても、「出場禁止になった彼女への差別だ!」なんて怒ってしまうのだろうし。僕には彼らを改心させられるような言葉なんてとても思いつきません。

 ロイター通信によると、ギリシャアテネでは今月、蚊を媒介とする西ナイル熱の感染で男性1人が死亡。少なくとも5人が感染しているという。パパフリストゥ選手は「ギリシャにはアフリカ人が多くいるので、西ナイルの蚊はたくさん自分の国の食べ物があっていいわね」と投稿。批判が出たため、削除し、25日に「心からおわびしたい」とツイッターで謝罪した。

 ギリシャ五輪委は「五輪の精神と理想に反する発言」と厳しく対処。ツイッターなどソーシャルメディアの利用を選手に奨励した国際オリンピック委員会(IOC)は「過去にも選手の投稿が問題になったことはあるが、代表を外されたことは聞いたことがない」(アダムス広報部長)としたうえで「ギリシャの対応は適切だった。IOCとしてソーシャルメディアへの考え方を変えるつもりはない」と述べた。

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ただまぁやっぱり物事には『TPO』があるわけで。別にそういうことを思ったりするのは勝手にすればいいと思うんです。でもそこでそれを言ったらマズイだろうという空気や制約は確かに存在しているのであります。
例えば宗教の聖地でその宗教を揶揄ってみたりだとか。アイドルのコンサートでそれを罵ってみたりだとか。その意味で、今回の構図で最も近いのは、某ディズニーランドで「中の人をネタにする」という辺りなのかなぁと。そりゃ出入り禁止にされちゃいますよね。
なのでやっぱり彼女は真の意味で「空気が読めていなかった」というお話なのでしょう。
行き過ぎた商業主義などが批判されるオリンピックにおいて最後に残った良心とも呼べるもの。彼女は見事にそこに踏み込んでしまった。彼らが未だその大義名分として「平和の祭典」「人類全ての協調」そういったものを掲げている以上、そりゃこうなってしまうよなぁと。


さて置き、まぁこれで彼女がメダル確実の有望選手だったらそれもまた違ったんでしょうね。その意味では自身の発言を許されるほどの実力がなかった彼女の――別の意味での――自業自得とは言えるのかもしれません。彼女に周囲を黙らせるだけの才能がもっとあれば、あるいはもう少しだけ思慮があれば、こんなことにはなっていなかっただろうに。
どっちもなかった人間の不幸。悲しいお話であります。