運営と業者の奇妙な共謀関係

市場原理と言ってしまっては身も蓋もありませんけど。


http://hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail/e27e08997bb6193c8dea495c827e81e83123e5f4/
ということでドラクエ10RMT業者がBANされたそうで。総計1,578万ゴールド。えーと、現状のRMT相場で日本円に直すと60万〜80万円相当でしょうか。……そう聞くと微妙にショボイ。
ちなみに表を見ると数百万ゴールドの大金を持っているキャラが載っている一方で、数万しか持っていないキャラが居ますけども、現状のDQ10で最も効率的にゴールドを稼ぐ方法は「自分一人で(wiiを4台用意して)4人パーティを作って、敵を狩り続ける」という方法であります。ゲームの仕様上一人で敵を倒そうが、4人で倒そうが一人分が得られるゴールドは一緒なので、つまり一人でやるよりも単純に得られるゴールドが4倍(ついでに戦利品も必ず全員分出る)になるというからくり。なのでわずかな金額で処罰されたというのはそうやって人数あわせの為に生み出されたアカウントでしょう。


ともあれ、もちろんプレイヤーとしてはこれはこれで喜ぶべき事態ではあるんでしょうけども、しかしだからといって根本的解決には絶対にならない所が寂しいお話ではありますよね。幾ら業者をBANした所で、そこに『商機』がある限り彼らは必ずやってくる。


この辺のイタチごっこはブランド商売のそれと似ていて、彼らブランド側が商品価値を高めそれを維持しようすればするほど、海賊品の取締りを強化しようとすればするほど、同時にまた不法な「ニセモノ」の価値までも一緒になって上昇してしまうんですよね。だからといってブランド側はそれを放置することもできない。かくしてブランド側の避けられない努力は、同時に海賊品の商品価値までも利することになってしまう。
ネトゲにおけるRMT市場も同様で、一般にその一つのゲームにおける市場は時間が経てば経つほど、競争の結果、飽和状態及び採算ラインの限界へと近づいていくわけであります。ところが運営側が――まさに正しくゲームバランスの健全化の為に、取締りを強化すると、結果としてそのRMT市場での価値は上昇してしまう。端的に言えば1ゴールド辺りの『単価』が上昇する。おそらく、今回失われた1578万ゴールドは、総体としてみれば業者側の資産は上昇したんじゃないでしょうか。まぁまたすぐに下がってしまうんでしょうけど。


運営側として当然の行為でもあるRMTの取り締まりは、ゲームの延命化を図れば図るほど、不正なプレイヤーを排除すればするほど、逆説的に残ったその不正者たちのその資産価値は上昇してしまう。それを防ぐにはより徹底的な対策が求められるのでしょうけども、しかしそれをやるにはやっぱりコストが当然掛かるわけで。しかも仮にそれをやってみた所で、今度はその「美味しい」市場めがけて業者たちがまた殺到してしまうことになる。
偶に運営側の放置っぷりに憤って、「あいつらは業者と結託してるんだ!」と燃え上がってしまう人がいらっしゃいますけども、それは構図として正しいわけであります。まぁ実際の所はまったく望んだ共謀関係ではないんですけども、しかし最終的に出力された事実としてその指摘は正しかったりもする
結局のところ両者は、ある程度、という所で共存していかなくてはならない。BOTやチートといったあからさまな不正行為はともかくとしても、そりゃ多くのネトゲ運営側がRMTについて諦めてしまうのも理解できなくはありませんよね。diablo3なんかのリアルマネー対応のバザーなんかもそうですけども、やっぱりどうにかして共存していくしかないのでしょう。まぁあれは失敗したらしいですけど。
いやぁ一体どうしたらいいんでしょうね? いつかネトゲのみで生きていくことが人生目標の僕としては大変気になるお話であります。


がんばれドラクエ