口を出さずにはいられないな

しかし「調子にのんなアメリカァァァ!」されてしまう。そんなすれ違い通信


「日本の原発ゼロ容認できぬ」アーミテージ・ナイ両氏  :日本経済新聞
ということでナイ先生とアーミテージ先生の耳の痛いお話。
それに対して苦言を呈された側の私たちが「内政干渉だ!!!」と怒る人が沢山居るのは理解できますし、言ってしまえば限りなくその通りではあります。
ただ、その線から怒ろうとするならば文字通り『エネルギー安全保障』の為ならば「戦争さえ辞さない」と覚悟を決めているアメリカの戦略家たちにぶっちゃけ何を言っても無駄だよなぁと。内政干渉とかそういうレベルですらない。この辺の両者の認識の隔絶が、結果として日本でのアレな人たちの陰謀論に繋がっていたりするのでしょう。
ともあれ、今回の両氏のそれも、だから構図としては単純なお話ではあるんですよね。別にただ原発どうこうという話ですらない。勿論そこに核兵器開発の云々が「1ミリたりとも」含まれていないとは言いませんけども、しかしアメリカ側の表向きのポジションとしては元々日本だけにはそんなこと絶対に口にできない――現状の(米国の米国による米国のための)核不拡散体制が崩壊する――ので、まぁ現状ではその辺はさて置いといてよろしいかと思います。
結局そんな彼らが私たちに必死にお願いしているのは「日本のエネルギー安全保障の事情をお願いだから考慮してくれ」ということを仰っているわけで。まぁ確かに余計なお世話ですけども、しかしどうしようもなく正論ではあります。かくしてやっぱり耳が痛いお話ということに。


しかしこんなことは今年の8月辺りに出ていた第三次の『アーミテージ=ナイ報告書』でも指摘されていたお話ではあるので、今更というのも確かにその通りなんですよね。
だから今回の構図を身も蓋もなく言ってしまうと、この辺のお話を、そもそもオープンな場でアメリカの政策立案者のポジションに限りなく近かった二人が言ってしまうことの負の影響力、という面がやっぱり強いのだろうなぁと。そんな二人が口を出してしまうからこそ、より大きな感情的な反発が生まれてしまう構図に。そんな光景は同時に、おそらくそれなりに事情も通じているはずの「そんな二人」がこうして口を出さなくてはいけなくなっている、という面での嫌な予感ばかり感じてしまいますけども。
ニーズある限りエネルギーのイノベーションは続く 世界が注視するフクシマ以降の日本のエネルギー政策 ――エネルギー問題の世界的権威、ダニエル・ヤーギン博士に聞く|World Voiceプレミアム|ダイヤモンド・オンライン
その意味では、この辺のお話については、より学者寄りなダニエル・ヤーギン先生辺りが言った方が角は立たないのかなぁと生暖かく思ったりします。ただそれさえもやっぱりそもそも結論が気に入らない人にとってはこちらのヤーギン先生なんかも怒りの対象となってしまいそうなので、そうなってしまうと僕にはこれ以上はお手上げであります。


なので個人的にはこのお話を見て、内政干渉と怒るというよりはむしろ、ごく当たり前の前提である国家としての『エネルギー安全保障』について本気で心配されているようで、まぁなんだか逆の意味でとっても脱力してしまうお話ではあるんですよね。過保護か!
ところが「うるせーそんな初歩の初歩の事言われなくてもわかっとるわい」と胸を張って言えないとても悲しいお話。