化石燃料消費社会はもうちょっとだけ続くんじゃよ

フラグとか禁句です。既存のそれが価格高等することで表舞台に出てきた非在来型なモノたち。


米、2017年までに世界最大の産油国に=IEA| Reuters
OPEC、シェールオイルによる供給構造の重大な変化認める| Reuters
ということでこれまでも何度か書いてきましたけど、いよいよIEAさんやOPECさんなんかも公式発表する辺り、世界的な流れとして定着してきた感はあるのかなぁと。そしてそれは――それこそかつての石油運用の黎明期と同様に――アメリカがまずその主役となるだろうと。再び世界最大規模の産油国へ。いやぁアメリカさんちはまじゴッドブレス。羨ましいお話であります。


ただまぁそう単純に「輸出国」にアメリカさんが甘んじるのかというとやっぱり当面はないのでしょう。それこそ第一次大戦後にあったイギリスとアメリカの覇権交代時期、つまり石油資源の確保をめぐって行われた冷戦以来続くエネルギー安全保障への執心。といってもやっぱりそれは一般的な大国であれば当然の決意でもあるわけで。それこそ唯一の『超大国』たる自負を持つアメリカさんちだからこそ、支配力を手放すなんてことそうそうするわけがない。「自らの懐を浪費するなんて戦略上バカげている」とイギリスに嘲笑されていた彼ら。そんな大英帝国の後継者たるアメリカ。この辺はかつてのロシアのそれとはまた違った国家戦略があって面白いですよね。
ただ、それでもそうしたエネルギー安全保障の歴史に幾つかあったターニングポイント――上記イギリスとの間にあった冷戦を契機として、原子力発電所の実現や、石油ショック等々に並ぶ重要な一つになるのかなぁと思ったりします。この辺りのアメリカさんちのエネルギー安全保障政策の歴史についてのお話は、かなり面白いお話ではあるんですけども割愛。


シェールオイル(タイトオイル)・シェールガスという非在来型な新製品たち。
こうしたお話が示唆しているのは、夢のような『次世代エネルギー』が待ち望まれている一方で、しかしあの手この手で既存のやり方で現状維持がされている、という構図であるわけですよね。まだそんな夢のような『魔法の薬』が表われないからこそ、私たちは伝統的なやり方にしがみつくしかない。
そうしたことを考えると、化石燃料の枯渇だの再生エネルギーだのなんだのと言われてはいるものの、しかし重要な一次エネルギー源としての化石燃料の存在感はもうしばらく続くのかなぁと。もしこれがなければその苦しみと引き換えに何かイノベーションが生まれたかもしれないのにね。ところが結構あっさり解決策は見つかってしまった。「幸運にも」というべきか、「不運にも」というべきか。


ちなみに、こうした事態にそれなりに影響を与えているのが、あの日本の福島原発の事故だったりするのだと思うと、まぁ色々複雑な気持ちではありますよね。
スリーマイル・チェルノブイリと続く原発神話の失墜。そんな脱原発社会を目指す動きは、勿論より安全でクリーンな再生エネルギーを目指す流れになる一方で、しかし短期的には(日本の現状が身も蓋もなく証明しているように)こうして化石燃料依存の度合いをより深めることになる。さっさと積み出し港と周辺インフラを造って日本に輸出してくれればいいのにね。代わり日本が何を支払うことになるのかが問題でもありますけど。
ともあれ、そんな需要の増大こそが、こうしたシェールなんちゃらという非在来型の開発を後押しすることになった。もちろん中国やインドなどの躍進からほっといても強含みだったトレンドによって遅かれ早かれそうなったのは間違いないでしょうけども、しかし到来を早めたことになったのはやっぱり間違いないと。これまで存在自体は知られていたものの、環境汚染や多額の投資コストというハードルがあって中々踏み切れなかった最後の一歩が、ついに踏まれることになった。
それは革命というよりは、むしろ延長戦始まりのゴングというほうが近いんじゃないかと。
でも仕方ないよね。だってまだ『夢のエネルギー』はやってこないのだから。


みなさんはいかがお考えでしょうか?