「絶対にロシアの二の舞は踏まない絶対にだ」という決意

その点では解りやすい人たちではあるのかなぁと。


習近平新体制が発足、汚職対策に意欲 中国 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
少し出遅れましたけども、名実共に「世界第二位」の大国たる中国さんちも新しい顔ぶれが出揃ったそうで。
――で、蓋を開けてみれば見事に反改革な人たちだったと。共産党汚職や腐敗は共産党内部の自分たちが自らの手で正すのであって、その改善策を西欧型へのシステムの改革や外部からの監視に求めることなど決してありえない。共産党の腐敗を正すのは格差是正云々からではなく、まず第一義的に中国共産党の延命の為である、という清清しいまでの決意。まぁいつもの規定路線であると言ってしまっては身も蓋もありませんけど。


さて置き、この辺のお話を観測していて面白かったのが、今回中国のトップに立った習さんが1991年の当時体制危機に陥ったロシアを評したとされる次の言葉であります。

ソ連人民は今貧困の中にいる。民主化の代償だ。我々はソ連と同じ道をたどってはならない」*1

実際、現状のロシアの政治と言えばまぁ見事な「ご覧の有様だよ!」なわけで。その言葉には現在から振り返ってみても正しい認識であると認めざるをえないでしょう。当時欧米を中心に「ロシアの民主化」は盛んに宣伝されていたものの、しかし見事に今のプーチン支配の現状は民主主義政治とはまったくかけ離れた所に行き着いている。
それは経済に関しても全く同様で、あのソ連の崩壊とその後の民主化運動以後、大多数のロシア国民はものの見事に経済的困窮へと転落していったわけであります。多くの産業は壊滅する一方で、資源輸出だけでなんとか踏みとどまっている現状。政治も経済も「ご覧の有様な」ロシアさんち。
現状のそんな有様を見れば、あんな風には絶対にならないようにしよう、という決意も解らなくはありませんよね。経済危機をこじらせるとソ連のように中央政治への致命的なダメージとなるのは避けられないし、同時に下手な政治改革は混沌しか生み出さない。ロシアが身をもって示してみせた余りにも重過ぎる教訓。
まさに空母や戦闘機やロケットを学び模倣するのと同様に、ロシアの政治や経済からもきちんと学んでいる。ダメなところは模倣しないようにしよう、なんて。
西欧の皆さんが上から目線で教える「われわれのやり方を学ぶべきだ」という所からは少し離れていますけど、その意味では現状の中国さんちの大戦略としては「ロシア化を避ける」という一点で、まぁそれなりに教訓から学び一貫しているのかなぁと思ったりします。
その一方で、焼身自殺の相次ぐチベットなんかは見事にチェチェン化一歩手前という感じで、その辺のこともできれば学習していただければなぁと思わずにはいられませんが。


更にもう一つ、そんな中国さんちが対米関係という点で実はロシアのそれからあまり教訓を得られない分野があるんですよね。『エネルギー安全保障』というどうしようもなく避けられない問題が。この辺は長くなりそうなので次回。
何はともあれ、西欧だろうがロシアだろうがどっちでもいいので、出来れば前例に習って欲しいなぁと思う所ではあります。まぁ今後益々『未知との遭遇』がネックになっていくんでしょうけども。

*1:読売新聞11月16日