不確定世界の新旧『アジアの虎』たち

とうとう第三世代まで出てきて『アジアの虎』もいい加減多過ぎ感。


シーレーン要衝に潜水艦基地整備…インドネシア : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということでインドネシアさんちが潜水艦基地を造るそうで。まぁあの辺りは私たちも死活的なシーレーンのお話と絡んでほんと落ち着いて欲しい所ではありますが、色々と騒がしくなるのは避けられそうもなさそうでハラハラしてしまいますよね。先日のフィリピンさんの「日本は軍備を強化して欲しい」発言*1などと合わせて、こうした事実が証明しているのは、勃興し存在感を強めているのがあの中国というだけではない、ということでもあるのでしょう。
つまり、もちろん相対的に見れば中国さんちが圧倒的に成長を続けてきたわけですけども、しかし一方でインドネシアを筆頭とする東南アジア諸国だってそれこそ順調に成長を続けてきているのだ、と。
もしこれがどちらか一方だけならば問題は少なかったんですよ。しかしそうではなかった。そこではやっぱり中国さんだけじゃなく、それに対抗する側の国々も自信をつけ、そして「モノを言う」普通の国になろうとしている。「俺たちは中国(ついでにアメリカ)の言うことをただただ粛々と聞いている弱小国とは違う」のだと。
だからこそそうした地域では、おそろしく不確定性を帯びることになる。


この辺りが今後起きるだろうとされている米中の争いが、少なくともしばらくはかつてのような単純な『冷戦構造』とはならないだろう、という予測に繋がる一つの要因でもあるんですよね。もちろんそれは単純に中国が核兵器などの「対米国向け」の軍事拡張戦略を採っていない、という理由もあるんですけども、しかしやっぱりそれだけではなく彼らの当面の主敵は中国にとって「当然屈服するべき国」たちであるわけだから。
その意味では、二重の意味で、中国さんはその覇権を唱えるのが遅すぎたんですよね。古臭い概念という意味と、そして最早周辺国もかなりの部分が発展を遂げてしまっている点で。
「中国の前庭」たるその地域には、条約機構の方のWTOにあったような連帯などまったくない。もちろんだからといって完全に「反中国」シフトなのかというと、そういうこともなくて、彼らは第三勢力らしく米中のパワーバランスの間で狡猾に立ち回ろうとしている。しかしそんな姿勢は(超大国を志向する)中国さんちにとってはやっぱり気に食わないので、経済援助や空母などあの手この手で影響力を強めようとするのです。
『眠れる獅子』が目覚めるのが遅かったせいで、他の小さな虎たちまでもが目覚めるタイミングと重なってしまっている。
私たち日本にとっては都合が良いと言えば確かにその通りなんですけども、しかし手放しで喜ぶわけにもいかない。だからこそ同時に「不測の事態」の可能性もとても高まっているから。安定した勢力による均衡ではなく、次々と勃興する国家たち。いつかヨーロッパ辺りで見かけた風景に近いもの。


いやぁおっそろしいお話ですよね。