The Empire Strikes Back

なのですー。わふー。


中国・習主席「中華民族の偉大な復興を」、全人代閉幕 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで先日の法王と同じくらいには影響のあるだろう中国さんちでも権力交代が概ね無事に終わったそうで。いやぁ今年は大きな政治イベントばっかりですね。新政権として、腐敗一層や環境対策などなどまぁとても素晴らしいことを言ってはいますけども、腐敗の方は10年前にもまったく同じことを言っていたし、環境の方についてはあの2000年頃までのあの未曾有のエイズ禍を見過ごした一人でもある李克強さんが序列三位の首相*1という辺り、やっぱりあまり希望はもてないよなぁと。そういう人たちだからこそ、ここまで権力の階段を登りつめることが出来たともいえるんでしょうけど。いやぁ中国の政治って素晴らしいなぁ。


ともあれ、この件では僕のような浅い知識ではありきたりなことがせいぜいであまり面白いことを言える気がしないのですが、ただここだけは興味深いなぁと。

【3月18日 AFP】中国の全国人民代表大会全人代)は17日、新国家主席に選ばれた習近平(Xi Jinping)氏が就任後初の演説を行い、「中華民族の偉大な復興と中国の夢」の実現を訴えるとともに軍事力強化や生活水準の向上を強調し、閉幕した。

 アナリストらによれば、習主席が語る「偉大なる復興」とは、具体的な改革を指すわけではなく、広くアピールするためのスローガンだという。

中国・習主席「中華民族の偉大な復興を」、全人代閉幕 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

新しく勃興するのではなく『復興』であるのだと。とてもユニークですよね。
この辺りが実際の本心であり、そして中国人民の心に強く訴えかける言葉であるのだろうなぁと。「失われた栄光=領土を取り戻せ」まぁそれって見事にあの文化大革命のスローガンでもあるわけですけど。
「打砕旧世界、創立新世界!」なんて。
あの文革の後、訒小平さんによる豊かになれるものから豊かになろうという時代を経て、再び(文革の時代に夢見た)中国王朝時代の覇権の待望へと舞い戻りつつある彼ら。端から現状の中国さんちを見ると、結果としてはどう見ても「豊かになれるものしか豊かになれてない」という感じで、それでいいのか、という思いはありますけど。まぁ本人たちがそれで良いのならばいいんじゃないかな。


そうしてただ復興したいのならば勝手にすればいいんですけども、でもやっぱりそれは私たち中国周辺国にとっては無視なんてできるはずもない。
中国人の(領土に対する)異常な愛情 - maukitiの日記
以前の日記でも書きましたけど、やっぱりそれは彼らにとってレコンキスタこそが中心にあるわけで。政治的影響力も経済力もそうなんだけど、しかし彼らが真に欲しているのはやはり『領土』こそ至上命題としてあるのです。

「日本がこうした情報ねつ造をするのは軍拡への口実を得るためか?」
「日本の戦闘機は連日、上海からわずか135キロの地点までを巡回している。中国最大の都市が、他国の戦闘機からの武力誇示にさらされている今、国家の安全はどこにあるかと思う」
「日本から挑発したのは事実、開戦となれば日本が敗北するのも事実」
「被害者を装って同情をひこうとするやり方はベトナムやフィリピンと同じ。他国の領土を奪っておいて、逆に『奪われた』と大騒ぎしている」(※ベトナムやフィリピンも中国との領土問題を抱えている。)

レーダー照射「した」「しない」で二転三転、国内からは一部...|レコードチャイナ

周辺国から領土を「掠め取られている」中国だそうで。それを取り戻すことが偉大なる中華民族の復興になるのだと。帝国の逆襲。
まぁもちろん時代遅れでバカげたことを言っているなぁと彼らを笑うことは簡単なんですが、しかしそれは多分に愛国教育に夜独自のイデオロギーであると同時に、言論の自由すら全然ない中国さんだからこそより大きな影響力を持っているわけですよね。「日中友好」と口で言うのは簡単だけれども、この現状認識の隔絶っぷりを埋めるのにはじゃあ一体どうしたらいいんでしょうね?



私たち日本が隣国としてどうしても気にしなくてはならない、今後の中国の行き先について。
その流れを決める一つの指針としては、上記「偉大なる復興」というスローガンを果たして中国の人びとが一体何処まで受け入れるのか、という所なんじゃないかなぁと思ったりします。歴史が教えてくれるように、不安定な時代においては特に、『出来のいいスローガン』というのは容易に戦争を許容させてしまうものだから。