人間の歴史の縮図

歴史は勝者が作るのだー!


サッチャー元首相死去に苦い感慨、英国と戦ったアルゼンチンの人々 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでサッチャーさん懐古ネタをもう一つ。アルゼンチンさんたちの苦々しい思い出について。

 1982年のフォークランド紛争に従軍したアルゼンチンの退役軍人の中には、喜びをもってサッチャー氏の訃報を聞いた人もいる。ある退役軍人(71)は「あの憎たらしい女が死んだこの日に神の祝福を」と言う。「あの女は本当に嫌な人間だよ。英国内の選挙に勝ちたいがために戦争を始めたんだ」

 一方、マルビナス退役軍人センターのマリオ・ボルペ(Mario Volpe)氏は、フォークランド紛争に関してサッチャー氏が罰を受けることも法の裁きを受けることもないまま死去したことに不満をもらす。ボルペ氏は、サッチャー元首相が当時のアルゼンチンの軍事政権と和平交渉を行う機会を無視して、英軍にアルゼンチン海軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラノ(General Belgrano)の撃沈を許可したことを批判する。

 1982年5月2日のベルグラノ撃沈に先立ち、米国と中南米諸国などが加盟する米州機構(Organization of American States、OAS)は英国とアルゼンチンに和平案を提示していた。「彼女は平和に貢献した人物として記憶されるべきではない。停戦の機会が提示されたのに彼女は受け入れなかった。それどころか攻撃を激化させたのだ」とボルペ氏は言う。

サッチャー元首相死去に苦い感慨、英国と戦ったアルゼンチンの人々 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News

うわぁ負け惜しみ感満載であります。まぁ仕方ないよね、悔しいものは悔しい。でもこの批判がイギリスに通じるのかというと、「くやしいのうくやしいのうwww」にしかならないのでしょう。
私はサッチャーになりたい - maukitiの日記
以前書いたお話ではありますが、結局のところ、フォークランド戦争の引き金を引いた軍事独裁トップのガルチエリさんと、『鉄の女』サッチャーさんの明暗を分けたのは「戦争に勝ったか負けたか」でしかない。確かにサッチャーさんは和平交渉の機会を無視し、649人のアルゼンチン兵士の生命を奪った。
――しかし、それでも、彼女は戦争に勝利したのです。
故に歴史にはそう記されることになる。上記アルゼンチンの声は「隠された」歴史というよりはむしろ「声の小さな」歴史としてしか残らない。『敗者の歴史』という悲しいお話。もちろん勝利といっても単純に戦争に勝てばいいわけではなくて、国際社会から広く「勝利を認められる」ことも同時に必要であるわけですけど。


http://riabou.net/archives/9
そうして見ると、やっぱりこれは私たち日本も全然他人事とは言えない「領有権問題」の一つの縮図であるのだろうなぁと。端から見るとどう見ても難癖に過ぎないとしても、しかし彼らは国内で己の正しさを確信している。どのように始まろうが、一度軍事衝突に至ろうが、やっぱり恨みの連鎖は紡がれていく。
こうしたことがあっても尚、アルゼンチンは領有権を主張するし、そしてイギリスは国民投票なんかやったりする。
ヒトって悲しい生き物だなぁ。