「(北方領土を買うのは)今でしょ!」と考える人たち

資源安とお買い時の相関関係。


日露両首脳、北方領土交渉再開で一致 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ほぼ一週間遅れの話題ではありますが、日露首脳会談があったそうで。なんか愉快な質問をして愉快なことになったそうですけども、しかしまぁ日本で最もガラパゴスな業界の一つであるマスコミの皆さんであるのでさもありなん、という感じで別に不思議じゃありませんよね。日本のマスコミの常識は世界の以下略。日本語障壁って素晴らしいなぁ。

【4月30日 AFP】ロシアを訪問中の安倍晋三(Shinzo Abe)首相とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は29日、モスクワ(Moscow)で会談し、北方領土問題の解決を探る交渉を再開することで合意した。日露間では北方領土問題が要因となり、第二次世界大戦後の平和条約が締結されていない。

日露両首脳、北方領土交渉再開で一致 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

ともあれ話を戻して、北方領土の交渉が再び始まりつつあるそうで。
「○島返還」のようなどこに着地点を置くのかという多分に感情の絡む議論はともかくとして、しかし、両国の「環境」は整いつつあるのかなぁと。それはお互いの長期政権という「政治」でもあるし、そして「経済」という面からも。
ロシア13年成長率見通しは2.4%、09年以来の低迷に| 世界経済展望| Reuters
実際、ロシア経済は欧州の経済危機を受けて悪化傾向にあるわけで。そしてそこに更に追い打ちを掛けているのが、最近の資源全般での価格下落の傾向であります。
そもそもロシア経済といえばほとんど常に「資源価格」こそが、その浮き沈みを決定づけてきました。それこそプーチンさん登場からのロシア経済の好調は、別に彼の手腕どうこうというよりも身も蓋もなく原油価格高騰こそが支えてきたし、その前にあったソ連崩壊前後の経済的混乱にトドメを指した要因の一つも、当時の原油価格の下落にあったりしたわけです。


そしてついに、ここ10年以上続いてきた新興国の需要増大に伴うコモデティの価格傾向が反転しつつある。それだけでなく『シェール革命』の余波を受けることで、ロシア産ガスの最大の買い手であったヨーロッパが購入を減らすだけでなく、再び中東産に手を伸ばしつつある。
――なので最近はロシア経済マジヤバイ、の一歩手前と言われていたりするのでした。そして経済悪化はプーチンさんといえど無視できない。というかその経済の好調さこそが前回政権時にプーチンさんが国内で皇帝となった最大の要因の一つでもあったわけで。
こうした状況を考えると、やはりまぁ「買い時」は近づきつつあるのかなぁと。かつてのソ連崩壊時には政治が足りなかったし、その次の両国の政治安定期には経済環境が揃わなかった。ところが運良く現在こうして「政治」と「環境」の両方が整いつつあると。ロシア経済の命運を握る資源の買い手として、そして同時にまた中国から人口的にも経済的にも大攻勢を受けつつある極東地域におけるカウンターとして、日本の投資を求めているロシア。
ちなみにこちらも昔からいわれていることではあるんですが、ロシアの経済にしろ政治にしろ構造改革が進まないのはこうした「資源高」があるから彼らはその必要性を感じないのだ、ともよく言われているんですよね。「1バレル20ドルが三年は続かないとロシアは真面目に経済改革を行おうとしないだろう」なんて。そうした点からもやはり、この資源安の状況は日露関係という面から見ても、変化の兆しとなるのかもしれません。


また、私たち日本としても同じく買い時ではあるんですよね。原発を止めてしまっている現状と、アメリカのあの『シェール革命』とロシア産のガスを天秤に掛ける環境が揃いつつあるわけで。
――ひいてはその「島」をも。


ということでやはり、その行方を決めるのは資源価格だったりするのかなぁと。安倍さんとプーチンさんのどちらも長期政権という期待がもてるという政治面という要素もやっぱりあるのでしょうけど、同時にこうしてお互い変化を望む経済面という要請もあったりすると。
まぁどう転ぶかは解りませんが、良い結果が出るように祈っております。