今日の「一体誰と戦っているんだ」な人たち

「私、バービーちゃん。今燃やされているの」


CNN.co.jp : ドイツに実物大の「バービーの家」が出現 女性差別の批判も
等身大の「バービーの夢の家」ドイツにオープン、FEMENのトップレス抗議も 写真19枚 国際ニュース:AFPBB News
わーたのしそー。「バービーは性差別主義の象徴だ」なんて。結構昔から言われているお話ではありますよね。

この施設に対しては左派のフェミニズム活動家らから、性差別や浅薄な物質主義を象徴しているとして抗議の声が上がっている。
シュピーゲル誌によれば「料理をしたり、おしゃれをしたり、歌ったりするイメージを、まるでそれが満ち足りた人生を送る方法であるかのように提示している。紋切り型の(女性の)ロールモデルを表現している」といった声が聞かれるという。
フェイスブック上にも平和的な抗議活動を呼びかける「オキュパイ・バービー・ドリームハウス」というページが登場。これまでに1700人あまりの「いいね!」を獲得している。
ドリームハウスは先週、米国のフロリダ州でも開業したばかり。ベルリンの施設は8月25日まで公開の予定で、いったん解体された後、欧州各地を期間限定で回るという。
バービー人形をめぐっては以前から、性差別や人種的偏見を指摘する声や、子どもたちに「あるべき体のスタイル」をすり込んでしまうとの批判が持ち上がっている。

CNN.co.jp : ドイツに実物大の「バービーの家」が出現 女性差別の批判も

そういう要素がまったく完全に1%も無いのかというと、やっぱりそういうわけでもないんでしょう。それに影響されてしまう子供が絶対にいないとは言い切れない。
じゃあだからといって、人形を燃やば解決するのかというと、まったくそんなことありませんよね。


本当に危険だと思うのならば、こんな一商品・一企業をあげつらったって意味ないんですよ。だってそれを潰した所で、根本的解決には何もなっていないのだから。このバービーちゃんの発売元であるマテル社が売るのをやめた場合、ほぼ必ず別のどこかがその市場に参入するだけじゃないのかと。
そもそも、彼らは別に消費者に「強制して」バービー人形を買わせているわけでは絶対にない。


このお話については「売る人が居るから悪いのか? それとも買う人が居るのが悪いのか?」といった暴力やエロスなどの話題にも通じる、まぁある種の究極のテーマであるとも言えます。ただ、それって大抵の場合――当然『法』に触れて売るのは論外ですが――「売る側」に問題がある例はほとんどないんですよね。それが規制されていないのならば好きにやって構わないんですよ。規制されていないのには、それなりに理由があるわけで。
私たちには最低限のラインを踏み越えない限り「自由」に振る舞う権利がある。
もちろん既存の法規制では射程外となる新しい判断基準が求められることもあるでしょう。しかし今回の事例ってそういう分野ではまったくありませんよね。


もし、本当にその危険性を確信しているのならば、科学的なデータなり大多数の支持者なりといった『パワー』を引っさげて、堂々と政治の場へ訴えそして法によって規制してしまえばいい。「バービー人形で遊ぶ『自由』は、女子の情操教育によろしくないので法律で規制しろ!」とか。うわぁ……。
それが実現出来ていない時点で、まぁお里が知れる抗議活動だよなぁと。なので正直何でそこで戦っているのかまったく理解できない。そこで抗議する彼らは科学的な裏づけも広範な市民からの賛同を得ることもできずに、ひたすら「自らの信条にそぐわない」ので気に食わないから配慮しろ、と訴えているに過ぎないのです。抗議活動の為の抗議活動と言ってしまっては身も蓋もありませんけど。
そんな(自己)満足感の為に標的されている人びとには同情するしかありません。
ちなみにこのマテル社って当然バービー人形が有名なんですけど、その繋がり(広告戦略)から「女子児童への啓蒙・教育」という分野にもやっぱり力を入れていて、その理由から反中絶団体などからも抗議活動されているんですよね。つまり彼らは「バービー人形は伝統的な価値観にそぐわない!」と怒られる一方で、こうして「バービーは性差別主義の象徴だ」なんて言われていたりもする。
いやぁ心底愉快なお話ですよね。



結局その影響がどうあろうが関係ない。本当に需要がなければ、抗議運動があろうがなかろうが、勝手に衰退していくのです。もし需要があるのならば、抗議運動があろうがなかろうが、勝手に市場は興隆していくのです。
この無慈悲な需給法則を覆そうと思うのならば、結局、政治的な強権を発揮させるしかない。
それなのになぜか人形を燃やして遊んでいる人たち。一体彼らは誰と戦っているんだ。