その飛翔体は人民の血肉でできている

あるいは「オラに元気を分けてくれ!」の現実世界版。本当に元気を奪われている。


北朝鮮、日本海に向けて短距離ミサイルを発射 軍事演習か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
北朝鮮、日本海に向けて短距離ミサイルを発射 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
そういえば、ようやく――という言い方も変ですが、北朝鮮さんちがひっそりとぶっ放したそうで。警戒始めてから長かったなぁと。そして結局いつもの毒にも薬にもならない地味な奴。この辺りは、以前の騒動でも書いたお話ではありますが、結局は日米韓の良い練習台となって終わりという毎度のパターンから外れることもなかった。


ちなみにこの毎度御馴染みの風景で、今回特に面白かったのがタイミング良く出ていた次のお話。
北朝鮮の平均寿命縮む…韓国より12年短命 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
(核)ミサイル開発によって縮む北朝鮮人民の寿命。

ジュネーブ=石黒穣】世界保健機関(WHO)が15日発表した統計で、世界各国で平均寿命がこの20年余りに着実に伸びる一方、北朝鮮で例外的に短縮したことが明らかになった。


 北朝鮮国民の平均寿命は1990年の70歳に対し、2011年は69歳だった。11年の数値は韓国の81歳より12年短い。核やミサイル開発に巨額の資金をつぎ込む北朝鮮で、保健・医療環境が悪化していることを示している。

 北朝鮮以外で、同じ期間に平均寿命が縮んだのは、エイズウイルス(HIV)感染が広がったアフリカの一部の国などに限られた。

北朝鮮の平均寿命縮む…韓国より12年短命 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

いやぁ何だか泣ける話ですよねぇ。偶にレトリックとして、その開発に際しての犠牲の大きさを国家指導者が得意気に語ったりしますけども、しかしこうして数字で出されその払った「犠牲」というのが明白となるのは、何気に珍しいお話なのではないでしょうか。まぁなんというか、そりゃ今更後には引けませんよね。
あのミサイルたちは、文字通り北朝鮮人民の寿命と引き換えに生まれている。


そして同時にまた私たちがまさに当事者として考えなくてはいけないのは、世界でも稀に見るほどの「寿命短縮」というのは、つまり、経済制裁によってそれだけの「人間が死んでいる」ということの証左でもあるわけで。
それは勿論北朝鮮の政府の第一義的には責任ではありますが、しかし同時にまた、経済制裁によって面もかなりあるわけです。それはあの戦争前イラクでも見られたように、物理的な軍事力の面ばかり見られることが多いものの『経済制裁』って実は直接の軍事行動と同様に――あるいはそれ以上に、対象国の市民に犠牲を生むモノでもあるんですよね。そしてだからこそ――北朝鮮さんちはその人民の生命など知ったことではないと邁進しているものの――独裁者たちに対してそれなりに効果的な手段でもあるわけです。


直接的な軍事的な破壊力ばかりで、こちらの『犠牲』について語らないのは、「平和」議論においては正直片手落ちだよなぁと。引き金を引くことだけが生命を奪う唯一の手段と言うわけでは決してないわけだから。