他人事でないイギリスさんちの苦悩

微妙に昨日の日記に関連して。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37836
ユーロ導入に伴う熱狂があった時代には欧州連合懐疑派だった彼が、本人のポジションがそれから何も変わっていないにもかかわらず、現在の反欧州が渦巻く現在では結果として欧州連合推進(維持)派になってしまっている現状。というのは欧州連合がやっぱり端的に愉快なことになっていることへの、愉快な証左ではありますよね。
結構あるあるなお話と言ってしまってはアレですが、右にしろ左にしろ、人びとの「熱狂」というものはやっぱりどこでもそんなものなのだと。いつだってそのポジションを決めるのは相対的な立ち位置ということでしかない。


昨日の日記でも書いた現在日本が直面する「世界における立ち位置に悩む」のはやっぱり私たちばかりではないわけで。というかその「悩み」という点においては、なまじ選択の余地があっただけイギリスの方が伝統的にずっと深いのでしょう。
60年以上経ってもまだ答えが見つからないイギリス - maukitiの日記
否決しておいてよかった2011年のイギリス選挙制度改革 - maukitiの日記
以前のお話でも少し書きましたけど、欧州大陸との距離感に悩む英国。ついでに言うと、その距離感の悩みは10年ほど前のイラク戦争の辺りには「(単独行動主義に走る)アメリカとの距離感」に悩むイギリスでもあったわけで。その感情は時代と共に揺れ動いている。
よく相似例とされる二つの島国。イギリスと日本。いやぁまったく他人事とは思えませんよね。
だからこそ、逆説的に地政学上のこの悩みは永遠に尽きないのだろうなぁと。イギリスがそれこそ数百年の単位で悩んでいるように、私たちだって似たような歴史でもあったわけだし。なまじ選択できる贅沢な悩みだとも言えるんですけど。
――しかしだからこそ、こうして国内での議論は見事に割れてしまう。
そんなイギリスさんちの悩みについて。

 英国内の反欧州派は、欧州に対する軽蔑の念のせいで、新興国で得られるチャンスを美化している可能性もある。もしこうした英国人がブリュッセルの官僚を高圧的だと思うのなら、北京を試してみるといい。ある英国外交官は最近悲しげに、訪問先で、英国が「弱くて衰退している国」であることを覚えておけと言われたのは中国だけだと話してくれた。

 また、英国が世界最大の通商圏であるEUの一部ではなくなったら、英国を乱暴に扱うのが容易になるだろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37836

この辺りは私たち日本自身に問われているお話でもあるのでしょう。弱いからこそ離れられないイギリス。参加の是非はさて置くとして、個人的にはやっぱりこうしたブロック経済=地域の貿易協定って基本的にそれは「弱い」からこそ組むのであって、そもそも「強い」のならば必要ないと思うんですよね。
同じ日本でも経済的・政治的「弱さ」を念頭にTPPに反対する人は少なくありませんが、この辺りについて一体どう考えているのかなぁと。


そんなまったく他人事には見えないイギリスさんちの苦悩について。
がんばれイギリス。