そして中国がやってくる

グレートゲームの次なる挑戦者。


中国とパキスタン、「経済回廊」整備で合意 首相会談  :日本経済新聞
中パ首脳が会談 経済回廊へ合同委 - MSN産経ニュース中パ首脳が会談 経済回廊へ合同委 - MSN産経ニュース
ということで中パ首脳会談が行われたそうで。「経済回廊」ですって。まぁ経済といってもその目的地が一時期話題になった軍港である例のグワダル港という辺り、やっぱりそれは軍事的・地政学的な回廊というべきでもあるのでしょう。中パ接近の象徴。
中国はここから中東へと通じる――まさに現代のシルクロードを支配することで、中央アジアへの影響力を増大させようとしている。アフガニスタン・イランへと通じる道として。

 【ニューデリー=岩田智雄】パキスタン首相府などによると、訪中中のパキスタンのシャリフ首相は5日、北京で李克強首相と会談し、中国北西部からパキスタン南西部グワダル港までの中パ経済回廊を整備し周辺地域を開発するため、合同委員会を発足させることで合意した。

 シャリフ氏はこの日、グワダル港を開発特区に指定する方針も表明した。港の運営権は中国国有企業に委ねられており、合意は中国海軍艦艇が将来、同港に派遣されることを警戒するインドを一層刺激しそうだ。

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だからこそその中国側の通り道でもあるウイグルの重要性はやっぱり譲れないものであったりすると。彼らの核心的利益のひとつ。
ウイグル族、警察発砲で15人死亡か 米ラジオ - MSN産経ニュース
エジプトの銃撃は話題になってもやっぱりウイグルのそれはあまり話題にならない。そこに触ると中国さんマジ切れしてしまうから。先日の日記でも少し書いた素晴らしきダブルスタンダードの一つ。



さて置き、この辺りは単純に、ブッシュ政権の末期からオバマ政権ではほぼ一貫して米パ間の亀裂が広がり続けていることの帰結ではあります。アメリカの側はパキスタンタリバンを匿っていると疑い続け、そしてパキスタンの側はアメリカはインドと通じていると疑い続けている。そんな中でオバマさんは例の(パキスタンに配慮しない)無人機爆殺祭り及びビンラディンの暗殺作戦の結果、両国の関係はもう修復可能地点を越えてしまいつつある。
かくしてアメリカが出て行くことで、代わりに中国がどんどん進出するようになっている。日本でも『中国包囲網』なんてことが言われていますけども、しかしその包囲網はこうしてパキスタン部分からあっさり漏れ出そうとしている。
アメリカが撤退し、そして代わりに中国がやってくる。
まぁ太平洋側ではなんとかアメリカさんはどうにか踏みとどまってくれそうではありますが、しかしその反対側ではこうして両者の攻守が交代しつつある現状について。今後避けられないアメリカ衰退の時代を考える上で、ある意味典型的で象徴的なケースであるよなぁと。
果たしてそうなったらどうなっていくのか、まぁ私たち日本としては戦々恐々と見守るしかありませんけども。