今回は読みを間違えていないロシアさんち

150年前から変わらぬ風景、変わる国際関係。



チェコ大統領、クリミア介入で露に警告 1968年の「チェコ事件」引き合いに 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
まぁ今回のロシアさんちの事実上の軍事介入というのはあの『チェコ事件』であると同時に、やっぱりその根本には『クリミア戦争』と同じ構造があったりするのだろうと思います。黒海への野心。ねんがんのふとうこうを! 150年ぶり二度目たるロシアさんちは今回は間違えなかった。
クリミア戦争 - Wikipedia
実際、当時まだ帝国だったロシアさんちの失敗の言うのはロシア軍の弱さ――近代化の遅れ――が大きいわけですけども、それを言ったら19世紀後半からの歴史上例外的な『平和な時代』を謳歌していたイギリスやフランスなどでも多かれ少なかれ事情は同じだったわけで。むしろより根本的な敗因=戦略ミスとしてあるのは「トルコに喧嘩を売ったら西欧諸国が出張ってきて涙目」というモノであるわけですよね。
彼らは外交局面というものをまぁ見事に読み間違えた。つまり、当時の二大列強たるイギリスとフランスには黒海周辺地域に介入する強い動機があったことに気付かないまま、口実となるトルコを攻めてしまったという点こそが。


――翻って2014年の現在、ロシアさんちはあの時と同じく地政学上の要請から黒海への支配権を譲るわけにはいかないと確信している。そしてその為に事実上の軍事介入へと歩を進めた。
今回もあの時も、黒海の支配権を掛けてこうして動いたロシアさんちではありますが、こちらも150年前の時と同じくプーチンさんの読みである「どうせ米国も欧州連合も手を出してこないだろう」という外交局面の予測をしている。ところが今回はまぁ概ね間違っていなかった、という点が面白い所ではありますよね。おそらく彼らはシリアでもそうだったように、民主主義こそ讃歌しても、実際に手を出すのはゴメンだと思っている。

チェコのルボミール・ザオラレク(Lubomir Zaoralek)外相もまた、今回のロシアの動きが1968年の「チェコスロバキアの主権に対する侵害」に似ていると語った。同外相は「私は断固、反対し非難する。私たちはもう欧州の紛争を武力で解決しない」と述べ、ロシアが1994年にウクライナの主権を保障すると約束したことを指摘した。「ロシアが約束を守らないのは受け入れられない」

チェコ大統領、クリミア介入で露に警告 1968年の「チェコ事件」引き合いに 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ともあれ、まぁオチとしてはやっぱり『チェコ事件』だったりするのでしょうね。でもその類推ってつまり結局国際社会=欧米は、国連ではソ連の拒否権によって機能しなかったし、そしてそれ以外の独自行動としてもそれぞれ個別に忙しかったので結局現状追認のまま何もできなかったという歴史を繰り返してしまう結末をも類推してしまうんですけどもそれでいいのかなぁとは端から見てて思ったりします。
長期的にはともかくとして、しかし短中期的にはロシアの勢力圏への不干渉という事実の追認にしかならなかった。


いやぁ不吉な予言ではありますよね。でもまぁ血が流れないだけマシかもしれませんよね。その意味では正しく外交局面を読むことができるようになったロシアと同様に、介入の口実があっても我慢できるようになった欧米も進歩したと言えるのかも。
がんばれウクライナ