シリア内戦の『独立』を担保するもの

化学兵器もちょっとずつ(周辺国への威嚇に)使えばレッドラインを越えてないのだ。



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シリア:首都郊外で化学兵器使用か 攻撃2回 - 毎日新聞
ということでどうやら「また」アサドさんは化学兵器ぶっぱしたそうで。
シリア:米 化学兵器使用「証拠なし」 - 毎日新聞
アメリカさんち辺りはやっぱり「シラナイ」と言っておりますけども、まぁそりゃ彼らが当の化学兵器廃棄をやっている現状そうそう認めるわけにはいきませんよね。


ともあれ、まぁ今回の件もやっぱり黙認されていくのでしょうね。ウクライナさんちもあったりで、それどころじゃないから仕方ないよね。この辺りアサドさんもしっかり空気を読んでいるよなぁと。
――そもそも何で現状のシリアでの化学兵器がこうも事実上黙認されているのかといえば、そりゃもう身も蓋もなく、彼らの使い方が事実上の「威嚇」の範囲に収まっているからですよね。彼らはそうやって自分たちの手には『兵器』があることを暗黙の内に証明している。この辺はイラクのかつてのフセインさんの時とまったく同じで、(何故経済制裁を受けながらもそれを手放さなかったといえば)彼らは周辺国に対しての威嚇の意味で、それを持ち続けてきたわけで。そしてその威嚇の生贄になったのが例のクルドさんたちだった。
自分たちの手にはコレがあり、そして使う覚悟もあるのだ、と。
シリアのアサドさんちも構図としてはまったく同じなんですよね。内戦を戦う彼らは周辺国に対しての威嚇の意味で、それを使い続ける。「安易に我々へ介入すればどうなるか解っているだろうな?」これってアメリカなどを直接に脅しているようでやっぱりニュアンスが微妙に違うんですよね。あくまで周辺国に対しての威嚇でしかない。だってそもそも欧米にはもう介入する気などこれっぽっちもないのだから。
皮肉で心底救えないお話ではありますが、アサドさんがこうした『使い方』を守っている限り、その化学兵器使用は黙認されていくのだろうなぁと。欧米の介入は最早なく、故にその限定的に威嚇目的の化学兵器使用は容認され続けていく。そうしたシリアの威嚇はぶっちゃけ内戦の周辺国への拡大を望まない人々にとっても、実はメリットがあるわけだし。


まぁこうした状況は必ず後発プレイヤーへ心理的ハードルの低下に繋がることは間違いなく、いつか痛い目に合うんじゃないかと思うんですけども、まぁそれは別のお話であります。
オバマさんにしてれみば、おそらく、別の大統領のお話だしね。ある意味で合理的だと言うことはできるのでしょうね。