前にも後ろにも進めず時間切れすら期待できないウクライナ

末はチェトニックかウスタシャか。このウクライナの、あーもうめちゃくちゃだよ感。


ウクライナ暫定政権 強制排除に軍投入へ NHKニュース
ウクライナ東部で治安部隊と親ロ派勢力が衝突、双方に死傷者 - Bloomberg
ウクライナ、東部の対テロ作戦で死者 「ロシアが戦争仕掛けた」 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでウクライナさんちは庁舎占拠者に対しての強制排除に出たそうで。暫定政府の皆さんが、結局、あのヤヌコビッチさんと同じところに立つことになったのは、まぁ皮肉なお話ではありますよね。革命成功者たちの「反革命」への粛清、という点ではやっぱりフランス革命から、そして最近のアラブの春まで繰り返されてきた典型パターンであり既定路線とも言えるんですけど。
しかしこの内戦構造は、最近のアラブの春などにはなかった構図ではありますよね。あのユーゴスラビアのそれに近い所に至りつつあるよなぁと。どっちがチェトニクでどっちがウスタシャになるかは言いませんけど。

【4月14日 AFP】ウクライナオレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は13日、同国からの分離独立運動が高まっている東部でロシアが「戦争を仕掛けた」と非難するとともに、「全面的な対テロ作戦」の開始を宣言した。同作戦ではこれまでに少なくとも2人が死亡している。

 東部ドネツク(Donetsk)州では前日の12日、覆面の武装集団が綿密な計画をもって各地の警察署と治安当局の建物を襲撃していた。

ウクライナのアルセン・アバコフ(Arsen Avakov)内相は、同州の分離派武装勢力に対する反撃を13日早朝に開始したと発表。ウクライナ国家保安庁(SBU)の精鋭部隊がまず、約20人の武装集団によって警察署が占拠されたスラビャンスク(Slavyansk)へと入ったが、激しい抵抗にあい死傷者が出たため「再編制」を余儀なくされたと明かした。

ウクライナ、東部の対テロ作戦で死者 「ロシアが戦争仕掛けた」 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News

どう見ても占拠側もプロです本当にありがとうございました。
【ウクライナ情勢】東部占拠、4都市に拡大 特殊部隊が親露派に寝返りか - MSN産経ニュース
こんなニュースもあったりで、ただのロシアの介入なら話はまだ単純だったものの、しかし国家の暴力装置が割れるとなると内戦はいよいよ次のステージに進んでしまうんでしょうね。



このウクライナさんちの構図においてものすごく「詰んでるよね」感があるのは、そもそも彼らがこうした(既に『対テロ作戦』という武力衝突に至っていても尚)『手ぬるい』ことしかできない点にあるんですよね。それこそ今回の内戦状況を抑えたかったのであれば、ロシアや中国が日常的に、あるいはシリアや革命後のエジプトなどがやったように、もうペンペン草も生えないほど「先手を打って」徹底的に弾圧するのも選択肢の一つではあったのです。
――しかし、一応はヨーロッパ側に立とうとしている彼らには、そんな非人道的な思い切ったやり方もできない。まぁもちろん陰謀論的に、今回の件は欧米の暗黙の了解があるからだというのもそれなりに正しかったりはするのでしょうけど。それでも上記のような躊躇わなかった国々に比べればずっと手ぬるい。この制約は今後もずっと続いていくでしょう。内戦をさっさと治めろと要請される一方で、欧米的価値観にそぐわないやり方は止めろと、中間管理職のような位置で縛られるウクライナさんち。
その意味でこれは、別の意味で『非対称の戦い』でもあるんですよね。手段が限られているウクライナと、手段をまったく選ぶ必要のないロシア。
かといってじゃあ完全に譲歩し続ければいいのかというと、やっぱりそれは連邦化への道一直線であり、ついでに言えばここで譲歩することはつまりそのまま「クリミアの現状を容認すること」にもなってしまう。


あるいは時間切れ――長期的には必ずロシア経済にダメージがありプーチンさんの支持基盤も揺らいでゆくだろうけども、それより先にもっとヤバいのがウクライナ自身の経済でもあったりする。
かくして前にも後ろにも進めず、立ち止まることもできないウクライナの暫定政府。


がんばれウクライナ