たぶん「また」イランが勝つんじゃないかな

少なくともここまではシリア内戦をそのまま再演中。



【イラク情勢】過激派の進撃、スンニ派排除の「宗派主義に原因」 サウジが声明 - MSN産経ニュース
イラクに干渉すべきでない、サウジ外相がイランに警告| Reuters
【イラク情勢】産油国の過激派支援に警告 イラン大統領、サウジを念頭 - MSN産経ニュース
お互いに介入良くないと言い続けながら手は動き続ける構図。ロシアや中国やウクライナをはじめとする昨今の国際関係らしいお話ではあります。
まぁなんというか、結局シリアとほとんどそのまま同じ構図がイラクでも続くのは皮肉なお話ではあるかなぁと。よくある「国家の枠組みを越えた」宗教宗派戦争のいつもの光景だとは言えるんですけど。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41031
今回も米軍が介入することはまぁ可能性は高くないのでしょうね。そして、おそらく、悲しいことに、そのオバマさんの判断は正しい。もちろんイラク戦争の責任という面はあるものの、それでもシリアの時よりもずっと介入のハードルは高い=ぶっちゃけ「周辺国全員が」米軍の直接介入望んでいない、という事実もあるわけだし。
――となると、バグダット陥落まで行くかどうかは解りませんけど、それでもおそらくシリアであったようにイランの支援がその手を緩めなければ現状のシーア派優遇政策を続けるマリキ政権はアサドさんと同じように温存されるのではないかなぁと思います。ただ、アサドさんには近衛に等しい精鋭軍がついていましたけど、マリキさんにはそんなモノないので自身の身に危機が及んでも尚、一体どこまで踏ん張れるか。


ともあれ、シリアの時からずっと見られる「覚悟の決まっている」イランと、「全力で直接に支援することが出来ない」サウジをはじめとするスンニ派諸国の限界。総体として見れば決して単純な軍事力や資金力では劣っているわけではない彼らが勝ちきれないのはやっぱりその覚悟の違いなのでしょうね。
だって彼らにとって一番恐ろしいのは結局の所「1979年の再来」でもあるわけだから。
――イスラム革命の二の舞こそを。
腐敗した王制を打倒し神権政治を確立する。まさにISISのような過激派な人たちがそもそも目指しているのってそういう世界観でもあるわけですよね。もちろんISISなどは同じ宗派で支援もするけれど、しかしそれは他人事としてはよくてもサウジの権力者たちなどが「死ぬほど」恐れている事態でもある。少し前のエジプトでもその一歩手前までいきましたけど、結局はクーデター・あるいは反革命によって押さえ込まれた。
そもそも彼らがカネを支援しているのって単純に大義や同胞意識というよりは、身も蓋もなく「保証金」でもあるわけで。反体制派に多少のカネを渡すことで、自分たちが狙われることを避けようとしている。

 一方、イランのロウハ大統領は22日、「石油で得た金でテロリストを支援しないよう忠告する」と述べ、特定の国への名指しは避けつつも、ISILに資金が流れているとされる湾岸アラブ諸国を牽制(けんせい)した。

【イラク情勢】産油国の過激派支援に警告 イラン大統領、サウジを念頭 - MSN産経ニュース

かといって、全力で支援すればその尖った矛が自分たちの方に向かってきかねない。スンニ派の彼らにはそんな全力を出せない事情がある一方で、既に革命を経験したイランは恐れる必要もない。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/46042-%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E7%9B%B8%E3%80%81%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E4%BE%9B%E7%B5%A6%E3%81%AE%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E3%81%AE%E8%A3%9C%E5%85%85%E3%81%8C%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%80%8D
さて置き、この構図で重要となるのはイランの制裁解除で、世界第三位の埋蔵量とされる石油が輸出できるようになれば「更に」資金的に余裕をもってイラクやシリアを支援することが可能となるでしょう。間接的なシーア派支援。まぁ所詮他人事である私たち日本にとっては教義とか地域安定といった『平和』とかどうでもいいから、ガソリン価格の下がりそうなこちらの方が都合がいいんじゃないかな。
さすが(自分たちの)平和を愛する日本だぜ。