「炭鉱のカナリア」としての香港

チャイニーズドリームはまだありそうにない。いやまぁ現地を見ずに「地上の楽園」とか言っちゃうアレな人はいつでもどこにでも居るんですけど。


満足した中国と不満足なロシアによる現状打破主義 - maukitiの日記
前回日記の続き的なお話。確かに彼らは現状打破を望んでいる、しかし一方で、彼らが『現状打破勢力』になるような大きな流れになる見込みがあるのかというと、少なくとも今はあまりないよなぁと。

 さらに、米国は「ほかの大国に取り囲まれていない唯一の大国」という地の利を得ているうえに、世界的な訴求力を持つ思想を後押ししているが、ロシアと中国には「訴求力のあるブランドがない」ともアイケンベリー氏は論じている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41111

この辺はアイケンベリー先生の仰る通りだと思うんですよね。つまり、ハードなパワーとしては相対的にその差は縮まっているものの、じゃあソフトパワーのような魅力が、ロシアや中国の周辺国がその支配する世界で生きたいのかというと、まぁまったくそんなことありませんよね。もちろん西側的価値観=ブランドが常に万能であり、民主主義が無敵であるとは今の状況を見れば口が裂けても言えないけれど、しかし相対的に見て中国やロシアよりはマシだと言うしかない。
かつてのソ連の心臓でもあったウクライナでも現在ではあの有様だし、中国周辺国が唯々諾々と彼らの論理に従う様子は、まったくない。どちらかというと古典的なハードパワーによる関係がほとんどだと言っていい。
「先祖返りした韓国」を見切る米国:日経ビジネスオンライン
それこそ昨今の韓国さんちのような(反日を媒介としての)既存の勢力関係を跨いでの解りやすい対中連携の深化というのは、ぶっちゃけ結構レアケースなんですよね。確かに彼らの市場は魅力的で、軍事力は脅威ではあるけれども、だからといって彼らのように生きたいわけでは絶対にない。ソフトパワーという面で言えば、中国さんちよりはまだ(反市場主義や反リベラルな意味で)ロシアの方があるのかもしれない。



香港で中国に抗議の投票78万人余り NHKニュース
香港で返還記念日に反中デモ、過去10年で最大規模か| Reuters
ともあれ、その意味で『香港』というのは、まぁものすごく分かりやすいモデルケースでありショーケースなんですよね。それは(中国にとっての)民主主義のショーケースであるというよりは、むしろ(世界にとっての)中国の独裁政治のショーケースでもある。
香港への政治介入はそのとても目に見えて分かりやすい試金石なのです。中国に民主主義がどのように影響を与えるのか、あるいは中国「が」民主主義にどのように介入するのか。良くも悪くも香港こそが真っ先に影響を受けるだろうと。
身も蓋もなく言えば、香港は炭鉱のカナリアである。
台湾の未来を変える「ひまわり運動」 中国が注視する台湾ナショナリズムと民主主義の行方(1/5) | JBpress(日本ビジネスプレス)
こうした香港の「一国二制度」の変遷を見ていると、やっぱり台湾の人たちのナショナリズムが盛り上がるのもやっぱり理解できないお話ではないよなぁと。


がんばれ香港。