目に見える浸食

香港もウイグルも、すっかり逆の意味での中国政治のショーケースになってしまったね。



中国、香港の「愛国者」選挙制度見直し案を承認 - BBCニュース
ということでいよいよ香港の選挙制度に対する介入もあからさまになってきたそうで。

実のところ、香港の選挙制度はすでに破綻している。「親中派」陣営が立法会の主導権を失わないようにできているのだから。

立法会の議長に当たる主席も、中国政府寄りの委員会によって直接選ばれている。

最後に香港で実際の選挙が行われたのは区議会選だったが、その時には1選挙区をのぞく全ての選局で民主派陣営が勝利した。

中国政府がこれにおびえたのは明らかで、中国は今や民主派候補が一切立候補できないよう法律を変えた。

中国、香港の「愛国者」選挙制度見直し案を承認 - BBCニュース

2014年から続いてきた「民主主義が死ぬin香港」物語シリーズの終わり - maukitiの日記
当日記でも散々書いてきたように、まぁ既に破綻していたのだから今更反発してみても手遅れだよね。
――どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
でも私たち人間がする後悔なんて、大抵そういうものだからしかたない。
茹でカエル理論のように、その時はまだセーフだと思っていたんや……。




ともあれ、かのようにもう手遅れな香港ではありますけども、米中対立が表明化している現代世界では、むしろウイグルと合わせて「だからこそ」存在価値が生まれているのは皮肉で、かなり面白い構図になっているとは個人的に思っているんですよね。
――つまり、中国政府が国内で一体どういうことをしているのか、というショーケースとして。

ともあれ、その意味で『香港』というのは、まぁものすごく分かりやすいモデルケースでありショーケースなんですよね。それは(中国にとっての)民主主義のショーケースであるというよりは、むしろ(世界にとっての)中国の独裁政治のショーケースでもある。
香港への政治介入はそのとても目に見えて分かりやすい試金石なのです。中国に民主主義がどのように影響を与えるのか、あるいは中国「が」民主主義にどのように介入するのか。良くも悪くも香港こそが真っ先に影響を受けるだろうと。
身も蓋もなく言えば、香港は炭鉱のカナリアである。

「炭鉱のカナリア」としての香港 - maukitiの日記

2014年ころから書いてきた日記ネタではありますけども、あの頃はまだ中国がワンチャン国際社会()の一員となる可能性は残っていたものの、2021年の現在ではまったくそうではない。
最早バッドエンドは確定していて、その上で、更に香港やウイグルがどれくらいヒドイ目にあわされるのか、という点に私たちの関心はシフトしてしまっている。
CNN.co.jp : 「手足に鎖の生徒」と「集団レイプ」、女性たちが証言する中国の収容施設の内側
「中国は一体どうなっていくのか」という疑念の段階は最早終わり、「中国は一体どこまでやるつもりなのか」という結末が見えている悲劇を戦々恐々としながら観劇する態度へ。
われわれもいつか香港やウイグルのようにされないようにしよう、なんて。


私たちはその現代中国の辺境である、香港やウイグルでの行動を見て、現代中国の真意を推測することになる。
かつてのポチョムキン村のような、国際社会に対するショーケースであった香港。


今ではその役割は逆転し、いかに中国政府が横暴であるかを喧伝するショーケースとなってしまっている。
そしてその事を最早隠そうともしていない現代中国。


世界が平和でありますように。