70年てすごいよね

最大の敵が最大の味方へ。


安倍首相米議会演説 全文 NHKニュース
そういえば例の安倍さんの議会演説はまぁそこそこ上手くいったそうで。しかしまぁ演説の中身についての是々非々はともかくとして、発音やカンペについてケチをつけるのは正直アレだよなぁと。そもそもあんなの――オバマさんのプロンプターなんか有名ですよね――「上手に」演説をしようとすればむしろ必須である手法でもあるわけで。中学校の英語授業で、真面目に発音しようとするのを嗤うメンタリティから何も成長していない。練習やカンペの必要性など、政治家の『演説』について一般に後進的とされる日本でこそもっと流行ればいいのになぁと思います。




ともあれ、先日も少し言及しましたけど、(共通の敵に対する)対米協調を訴える米議会演説という共通点において、それなりに類似性が見られて興味深いと思うのはやっぱり宋美齢さんの議会演説かなぁと。1943年のあの時、中国代表だった彼女はまさに対日闘争を訴えることで米議員たちから総立ちの拍手で迎えられたわけで。演説の実際的な意味はともかくとして、バーバラ・タックマン先生*1なんかはあの瞬間こそを米中関係の歴史の中でも「最蜜月」と仰っているわけで。その象徴が彼女の当時の人気でもあった。
――それが翻って70年と少し、構図はまったく逆になってるっていうね。

アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私たちには、その責任があります。

安倍首相米議会演説 全文 NHKニュース

もちろん安倍さんは直接中国を名指ししたわけではないものの、意図は明らかでしょう。かつて対日闘争協調を訴えて下院議会で万雷の拍手を受けていたあの時から、今では事実上の対中同盟を賛美しては万雷の拍手を受けた安倍さん。アメリカとの同盟を巡って、70年で事態はまったく逆の構図となった。歴史ってすごいよね。


こうして見るといつか将来、もし、仮に、中国と日米同盟が更なる対立構造に陥った時、歴史の空気として語られる一つがまさに前回のそれと同じく安倍さんの今回の米議会演説だったりするのかなぁと。
みなさんはいかがお考えでしょうか?