「中国が私たちのようになる」のではなく「私たちが中国のようになる」のかもしれない

中国的スタンダードが普及するかの大一番。



上海市場 代表的株価一時8%以上下落 NHKニュース
ということでギリシャ問題とは違って、見事に他人事でないので大騒ぎされている中国さんちの株価暴落であります。

中国の株式市場では株価の下落傾向に歯止めがかからない状況が続いていて、8日も上海市場では取り引き開始直後から売り注文が相次ぎ、代表的な株価指数は7日の終値と比べて一時8%以上下落しました。
上海の株式市場では去年後半から株価の高騰が続いていましたが、先月中旬以降下落に転じ、代表的な株価指数である「総合指数」は先週までの3週間で28%の大幅な下落となっています。

上海市場 代表的株価一時8%以上下落 NHKニュース

すんごいこと起きているよねぇと。「ついに」中国のバブルが弾けるのか否か。



まぁ実際には、これまで一部の人たちからは、ほとんど毎年のように爆発する爆発する言われてきたわけですよね。しかし中国政府はそれをどうにか回避してきたのもまた事実でもあるわけで。その上で、いよいよ正念場を迎えつつある今回はどうなるのか。
中国、株急落で報道規制の緊急通達 公安省は空売り調査  :日本経済新聞
中国、大株主や経営幹部に持ち株売却を6カ月間禁止−証監会 - Bloomberg
売買停止やら売り禁止令やら報道規制やら、今回も中国さんちは、自由社会に生きる私たちからすると大変ユニークな手法でどうにか流れを止めようとがんばっていますけども、まぁ失敗したら失敗したで笑えば(いや実際には私たち日本は全然笑えないんですけど)いいんですよ。その余波を食らいながらも、結局中国は間違っていたのだ、とドヤればいいだけなのだから。
――しかし、むしろ、ここで、もし、中国のこうした施策が成功したら一体どうなってしまうのか、とも個人的には思うんですよね。
ぶっちゃけその成功って近現代以降人類の経済史においてずっと悩み続けてきた「バブル崩壊→恐慌」というまさに人の気分が支配する故の景気問題に対する最終的解答の一つとなるんじゃないかと。もしこのまま長年心配されてきた中国バブルを見事に抑え込むことに成功すれば、中国が私たちのようになるのではなく、むしろ私たちが中国のようになる、ことを真剣に考えるべき前例と言えるでしょう。


現在の中国共産党のように、個人の権利のようなモノなんか一切無視して、強権的な手法で人びとの「自由な経済活動」を政府が抑制すれば、バブル崩壊だって乗り切れる。


もちろん全てが一斉にそれを取り入れるのはありえないとしても、これは絶対に真似をし追従する国が一部出てくると思うんですよね。総本山なアメリカは嫌がりそうだけれども、しかしヨーロッパや日本は多かれ少なかれそちらの方へ舵を切るようになるかもしれない。1929年の大恐慌の反動として進んだ世界的な社会主義志向も、80年代以降には新たなグローバルスタンダードとして自由主義的な考え方が再び支配的になった。それもリーマンショックの衝撃こそどうにかこうにか乗り切ったものの、中国的手法の成功によって、再びより積極的に「政府が」市場管制するべきだという価値観へ。


まぁそもそもの(権力に対する)個人的権利の成り立ちを考えれば想像できるように、そうした経済活動の自由抑制は、必ずその他の政治的社会的な自由権をも縮小することに繋がる可能性が高いわけですけども。まさにこちらも中国を見れば一目瞭然のように。
しかし、それでも、もし安定した成長を望める(既にそれは実現している)上に、こうしたバブル崩壊をも免れ得るだけのポテンシャルを中国的手法が持っているとすれば、それに転ぶ人たちは、政治家だけでなく一般国民にも、決して少なくないのではないかと思ったりします。
私たちが信じてきたリベラルな民主主義と自由な資本主義が持つ欠陥に対する、一つの答え。


このまま成功すれば、中国が私たちのようになるのではなく、私たちが中国のようになる時代が来るのかもしれない。
みなさんはいかがお考えでしょうか?